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第108回 高校生と語ろう“ミルクの未来”

牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

考える会委員:
「高校生とか、女子高、中学生、高校生、あまり牛乳飲まないのは、カロリーが高いから嫌だというのを聞いたことあるのですが、そういったことも影響あると思いますか。」
高校生:
「私自身はあまり聞いたことはなくて、牛乳というと、どちらかというと健康、骨が強くなるみたいなイメージが本当に第一印象だったので、あまりカロリーは気にしないかなという印象ではあります。」
考える会委員:
やっぱり映えるものというアイデアが出ましたが、牛乳を使った料理とかのアイデアはないですか?
高校生:
「食事は正直、あまり自分ではやらないのですが、先ほど、あまり色がかわいくないみたいな、茶色い飲み物が多いという話で、それの解決方法というか、それをかわいくするにはステッカーを使ったらいいのではないかなと考えていて、茶色でもクマさんだったり、そういったものはすごくかわいくて人気がある動物なので、それは特に女子高生世代には受けるのではないかと考えました。」
考える会委員:
牛乳の容器は高校生的にはあまり、かわいい、飲みたいなと思うような感じじゃない。もうちょっとクマさんとか、そういうのがついていたらいいのでしょうか。
高校生:
「牛乳のパックには牛乳の実際の液体がすごくきれいに描いてあるので、その白を見ると飲みたいなと感じたりもしたり、あともう一つアイデアとしては、最近レトロなパッケージというか、昔のパッケージの復旧などしてる商品が多いなと感じたので、牛乳でもそういうふうにしてみるのはどうかなと考えました。」
考える会委員:
レトロなのはやっぱり今の女子高生なんかにとってみると、逆におしゃれって感じになるのですね。では、昔、風呂屋にあったパカッとあけるような牛乳というのは意外と、そこにクマさんでもつけとけばいいのかしら。
出席者全員でフリーディスカッション
高校生:
「そうですね、私たちにとっては、逆に見覚えのないものなので、新鮮味も感じられると思います。」
考える会委員:
何か、飲む、食べる以外の、何か別のものに使うというようなので産業を起こしていけばいいのではないかなと、お2人のこの発表で刺激されて思いました。
というのは、トウモロコシはアメリカではバイオ燃料としても栽培しているのですね。3分の1ぐらいはバイオ燃料です。でも、日本人はトウモロコシってやっぱり食べるものというイメージしかないですよね。もちろん油とかそういうのにも加工するけれども、バイオ燃料として使っているので。
やっぱりこの牛乳についても、今やっぱりすごく環境の点からいろいろ言われている飛行機、航空機の燃料とかでもいいんじゃないかなとか思ったりして。あれを環境に優しいもので何かできないかということで、廃油とかで今飛行機の燃料を作るというような研究が進んでいますけど、そこでぜひ牛乳もと思ったりしてということで。本当にこれからお2人に研究して、何かテーマを決めてやっていただくとおもしろいのではないかなと思ったりもしました。
考える会委員:
「アンケートについての質問が3つあります。よく牛乳を飲むと口の中に残る感じがするので、あんまり飲みたくないという人たちが周りに多いんですけど、お二方はそれが気になりませんかというのが一つ。あと、高校生が、学校給食がないと、どのタイミングでフルーツ牛乳とか牛乳を飲む、生活の中で、どこで飲むのかなというのを二つ目に知りたいです。
あと、今回は女子高校生のアンケートだったので、周りの同じ高校生の男子は牛乳をどう思っているのかなというのがもしおわかりでしたらお願いします。
出席者全員でフリーディスカッション
高校生:
「初めに牛乳を飲むタイミングについてお答えさせていただくと、確かに給食がないことによりすごく飲む機会は減るのですが、例えば原宿とかにあるお店でも、フルーツ牛乳自体の専門店とか、バナナジュース専門店とか牛乳を使った飲料の販売しかしていないお店があるので、多分そういうところに行く人が多いのではないかなと考えたので、そのタイミングで飲むと考えています。」
「私はヨーグルトがすごく大好きなので、スーパーマーケットに行った時に、ヨーグルト売場にいつも一目散に行きます。その際に、ヨーグルトの隣に牛乳があるので、じゃあついでに買おうといったふうに買っています。
後味に関しては、アンケートにも一定数以上、後味が悪いからなど、口に味が残ってしまうという理由であまり好んでいない方がいました。男子については、すみません、わかりかねます。」
考える会委員:
ありがとうございます。今のお二方の回答を伺っていて、やっぱりご家庭の中の冷蔵庫に牛乳があって、自宅で飲むというシーンが無いんだなというのをすごく今感じました。私の年齢だと、家で、家の中で、朝か、あるいは学校から帰ってきてからなのか、夜寝る前なのか、家の中で飲むことが結構普通だったような、私の場合はそういう気がしていたので。今伺っていると、特別なところに行かないと例えばあまり飲まないとか、そういうのが今現状なのかなというのはちょっと伺っていて思いました。
出席者全員でフリーディスカッション
考える会委員:
研究論文についてですが、もし、今後このような研究をされるときに、一つ観点としてはライフサイクルアセスメントというものがあります。つまり、例えばお2人は、赤ちゃんの食器が現状プラスチックのものが多いけれども、それを廃棄される牛乳でつくったプラスチックに置きかえようということを提案されています。置きかえた場合に、現状ある食器を例えば石油からつくって、使用して、廃棄するまでにどのようなエネルギーが使われるのかとか、廃棄したときに廃棄量とか環境への影響といったことがあるかと思いますが、製造の初めから最後、廃棄されるところまで、エネルギー消費量、環境への影響とか、それから人体への影響とかそういうことを、本来は全て計算に入れて比較対照するということです。
つまり、現状のAからBへかえたときに全ていいことばかりじゃなくて、そのライフサイクルの中で、どこかしらAをBにしちゃったら悪くなる部分というのもあると思うのですね。そういったところにも目を向けて研究をしていくということが大切かなと私自身は考えています。牛乳の消費についても、そういった、牧場で牛さんに餌をやっていて、餌をやるときは、日本の場合は北海道以外のところはほとんど輸入の原料ですよね。だから、餌をまず外国から運んできて、その穀物等を食べさせて、牛を育てて牛乳にしてとか、そこでいろんなエネルギーも使うし、環境への影響もあるし。あと、牛の動物福祉というのですが、牛が幸せに生きられるかとか。
だからいろいろ考えるべき要素というのはものすごくあって、そういったことも頭に入れながら、この牛乳問題って考えていただけると、いろんな視点が養われていけるのかなと考えています。
考える会委員:
私もこういった研究を続けていって、この画期的な発想が、お2人からもっと世の中に広まっていくことを期待します。確かにカゼインプラスチックってあるのかもしれないのですが、もっと世の中にこういったものが広まっていったらいいと思います。
考える会委員:
乳業協会の方から、何でいま余っているのかというところを少しご説明いただけますか?
乳協:
平成26年頃ですが、バターが若干不足気味になりました。本当に足りなかったかと言うと、乳業メーカーには結構在庫があったのですけれども、テレビのニュースなんかで取り上げられてしまうと一気に買いの需要が発生して、年間に数個しか買わないバターを、消費者の方々が「足りない、じゃちょっと今のうちに買っておこう」ということで、買った上でみんな冷蔵庫に保管してしまうんですね。そうすると急に小売店頭では足りなくなってしまいます。そういうことがあって不足がより加速してしまったという側面があります。そのころからバターが不足して、生産が足りないので生産を増やそうという政策展開を農林水産省がし始めたのです。
そうすると、あとは生乳生産を増やそうとすると、乳牛が子牛を産んで、子牛が大きくなって、赤ちゃんを産んでおっぱいを出すまでに大体3年ぐらいかかります。したがって、実際に生産が増え始めたのは令和元年になってからです。
元年に増え始めたら、その元年度にたまたま新型コロナウィルス感染症が発生してしまって、急に皆さん外出とか外食を減らしてしまったので、消費量がガクッと落ちてしまったのです。生産がぐっと増えたところで消費量がガクッと落ちてしまったので、その差が広がっていって、それが在庫として積み上がったということです。これは政策のせいと言うとちょっと申しわけない気がします。偶然にそうなってしまったところがあるので、偶然が重なりこういうことが起こってしまったのだと思います。
考える会委員:
コロナは予想できませんでしたからね。そこを責める、農政を責めるのもちょっと酷だなと思います。それは世界中で多分そうだったと思いますし。増やそうと思っても簡単に増やせるものではないし、今度減らしてしまうとまた足りなくなってしまうというようなことがありまして、なかなかこの生産調整が難しいですよね。だから、それこそこういう食べたり飲んだりというのとまた別なものという発想というのを、ちょっと今までなかなかなかったので、すごくいいアイデアだなと思い、本当にこれをもっと広げていって、みんなで考えるときっと何か本当一つの産業に、廃棄しないで済むように生産調整を回せる一つとして、バター、脱脂粉乳に次ぐ何かになるとすごいいいなと思いました。
乳協:
アンケート結果で、ちょっと意外だなと思ったのが、好き・嫌いのところで、“嫌い”という人が少なくて、“好き”という人が多いのはうれしいなという反面、“どちらでもない”という人が同じぐらいいることは、“どちらでもない”人たちを“好き”に近づけるために、何かしらの仕掛けが必要かなと思います。その提案として、さっきインスタ映えとか、カップにシールを張って見映えで楽しむとかがありました。実際に飲まれるのが1週間に数杯ということでしたが、おうちの冷蔵庫にはどんな形状・容量の牛乳パックというのは入っているかを知りたいです。
高校生:
「私たちの家庭では1リットルの紙パックが冷蔵庫のドアポケットに入っております。」
乳協:
それと、実際に飲むことで、味への不満が10数%の方の7割に出ていますが、そのあたりについては先ほど来、何かに混ぜてるだとか、料理に使っていくというのが一つ大きな使い方かなと思います。皆さんは作られてないのであれば、お母様かどなたかに作ってもらうようなメニューレシピが協会、メーカーなどいろいろなところから紹介していますので、一度見ていただいて、インスタ映えするようなメニューも結構載っていますので、それをちょっとおうちの方に作ってもらって、食べてもらって、好きになってもらうというようなことをやっていただけると、牛乳自体の消費につながるのかなと思ったりします。ぜひそういったこともチャレンジしていただきたいなと思います。
先生:
「一消費者としてですが、我が家では牛乳の消費が凄く多く、週末に10本冷蔵庫に入れて、1週間もつかなと思っている感じです。個人的には常温保存できる牛乳がもうちょっと巷で手軽に手に入ると助かるというところがあります。あと、持ち運びがしやすかったりとか、オフィスとかに例えば置いておいて、電子レンジぐらいはオフィスにあったりすれば、ちょっとマグカップに入れて温めて、それこそココア、カフェオレが飲めたりとか。オフィスの冷蔵庫も結構場所のとり合いだったりとかすることもあると思うので。もしかしたらそんな普及の拡大の可能性はないかなと思ったりします。ネットとかで見ると商品は有るけれども、結構お値段が高くて、なかなか気軽に常温のLL牛乳だかが手に入りにくいな、ちょっと手を出しにくいなと個人的には感じています。」
考える会委員:
ロングライフ牛乳は、金額的に高いのですか?メーカーの方に教えていただきたいです。
メーカー:A
価格まで記憶がないのですが、確かに生産量は少ないのかなと。今200ミリリットルの常温だけです。あとは、製造工場が限られているというのもあって、数は確かに少ないのかもしれないです。
メーカー:B
1リットルですと業務用がメインで、保存性のところでメリットを感じられておられるかなと思います。値段はそんなに大きく変わることはないです。あとは、市販用に200ミリリットルのロングライフ、60日もつというのを販売していますが、100円強ぐらいの値段です。
メーカー:C
1リットルと200ミリリットル販売していますが、そんなに大きくは値段は変わりません。コストコさんとか半業務用の方々にも販売しています。結構、タピオカミルクブームのときは、店頭で1リットルのLL牛乳を買われる方もたくさんいらっしゃいました。
メーカー:D
市販用の200ミリリットルのLLを、市販というか半業務用みたいな感じです。どうしても製造の工程の問題等々もありまして、製造する場所が限られているということもあります。あと、生乳本来のおいしさということを考えると、やはり常温保存品よりかは、チルド品でお飲みいただいた方がおいしいのかなと考えています。
メーカーE:
後味がちょっと苦手だということで、この後味というのが、熱を加えることによってたんぱく質の変性、殺菌するときの熱でたんぱく質が変性して、いわゆるクックドフレーバーといって、その臭いだと言われます。各社さんいろいろ工夫をして、このたんぱく質の変性を抑えたような牛乳も出されています。低温殺菌牛乳も、生乳本来のすっきりしたおいしさですので、ぜひ試していただければなと思います。
考える会委員:
女子高生のお2人は、低温殺菌牛乳とか味が違うというのはご存じでしたか。
高校生:
「私は今までロングライフ牛乳を見たことも飲んだこともないので、正直違いがわからないです。」
「低温殺菌牛乳は飲んだことはあると思うのですが、1回きりぐらいなら飲んだことがあります。」
座長:
活発なご討議をありがとうございました。今回のフリーディスカッションは特に結論を出すというものではございませんので、今日のご発表とかディスカッションを参加者の皆さんがそれぞれの立場で参考にして、いろいろと研究をされたり、いろいろ業界の発展のための取り組みに生かしていただければと思います。