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第108回 高校生と語ろう“ミルクの未来”

牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

論文発表Q&A
Q1.大変興味深く伺いました。また、大変勉強になりました。とっても画期的な発想で書かれた論文、研究なさった成果ですので、たくさんいろんな質問があるのですが、とりあえず、なぜ幼児用食器に利用しようと思ったのかなと思いました。実際にカゼインプラスチックで容器をつくった場合に、一つはどのぐらい保存可能なのかとか、それから、食品を入れたときの味の変化はどうなのかということを伺いたいです。
A1.
  • 容器は保存の容器としての使用ではなく、幼児がご飯などを食べる際のみの使用として考えております。
    また、具体的にどのような食品を入れるかまでは正直、考慮していなかったのですが、耐熱性のとき、及び耐薬品性の実験を行った際に変色してしまったり、少し弾力性を帯びてしまったりしたときがあったので、それを防ぐためにも、ある程度のコーティングは必要ではないかと考えています。そのコーティングをするのであれば、食品に影響を及ぼさないのではないかと考えています。
Q2.ある使用シーンを考えていって、その際の食品への影響とか保存可能性などを具体的に考えていけば、実現への道がつながっていくのではと考えます。例えば耐熱性、沸騰までは行かずとも60度ぐらいまでなら大丈夫だとしたら、スターバックスとか、最近非常に環境への影響を気にして、紙のストローとか持ち帰り容器とか使っているところでこのようなカゼインプラスチックを容器として使うということを想定すると、あまり容器自体の保存期間も要らないし、牛乳を常に使用しているので、そこで廃棄されるような牛乳を、例えば簡単に、お2人が作られたようにお酢を入れたりしてちょっとあまり手間がなく作れるのだったら、お店でも容器が作れるということができるかもしれないなと考えました。
A2.
  • 一番初めは使い捨てでも考えたのですが、幼児用食器として結論に至った理由としては、カゼインプラスチック自体が生分解性ですので完全食品由来のものになっています。前に幼児用食器がプラスチック性であるために、幼児が舐めて少し体に害があるという話を聞いたことがあったので、それに関しては、完全食品由来ですのでカゼインプラスチックがより適しているのではないかと考え、その結論に至りました。
Q3.牛乳からプラスチックという発想を考えたこともなかったのですごく新鮮でした。ヒントになった何かが有りましたら教えてください。
A3.
  • お互いに牛乳に興味があったので、それをテーマにしたいよねというところから始まって、そこで牛乳の消費量の問題などがあることを知ったので、そこから再利用すればいいのではないかと考えたときに、先ほど申し上げた3つぐらい再利用の方法が見つかったのですが、その中でもカゼインプラスチックは環境問題も同時に解決できるのではないかなと考え、選びました。
Q4.耐咬合性の検証というのは、歯形をつけるとかではなくて、今回のように落として割って検証するものなのでしょうか。
A4.
  • 初めは私たちも同じように考えており、歯形をつけるという意味では、針金などを使うことで、一辺に力を加えるべきなのではないかなと考えていたのですが、実際に赤ちゃんの咬合力の実用的な部分を考えたときに、赤ちゃんが噛むときは、このような鉄球を落とす実験が一番その実際の噛み方に近かったので、このような研究方法にしようと考えました。
Q5.カゼインプラスチックというものは、今の小学校とか中学生とか高校生とかは知っているものなのですか。
A5.
  • いえ、私のクラスメイトとかでいうと、知っている人はほとんどいないと思います。
Q6.牛乳というのは本当に飲むか食べるという発想しかなかったので、本当に、こういう利用の仕方があるのだという、ものすごく新鮮に受けとめました。今後これをさらに何かもう少し研究していきたいと思われていますか?
A6.
  • はい。スライドの最後にもあったように、まだカゼインプラスチック自体から牛乳の臭いが結構強かったので、それも課題だなと考えています。あと、気泡とかができてしまうこともあるので、コーティングとかもして、もう少し手触りを滑らかにしなければ実用的ではないかなと考えているので、その課題を改善したいと考えております。
Q7.カゼインプラスチックを使った何か製品というのは世の中に存在しているのですか。
A7.
  • 本当に実用段階のものなのかは少し怪しいのですが、ネットで検索したところ、食用トレーに使われているという事例は見ました。

フリーディスカッション

学校での事前アンケートついて

今回のフリーディスカッションの事前情報として、洗足学園の女子高生137人に行った牛乳についてのアンケート内容と私たちの見解を紹介します。
まず、第1問として、普段の生活の中でどれほどの牛乳を消費しているのかを調査しました。消費の仕方は様々で、毎日1杯以上飲む人から全く飲まない人まで幅広く偏りがなく分布していることがわかりました。
そして、次の問いでは牛乳の好き嫌いを聞きました。選択肢に「好き・嫌い・どちらでもない」を用意したところ、「嫌い」と答えた人はおよそ1割であり、「好き」「どちらでもない」と答え人はほぼ同数でした。このことから、そんなに多くの人が牛乳を嫌っているわけではないということがわかりました。つまり、消費量が伸び悩んでいるのは、学校給食などの牛乳を飲む機会がないことや、生活において飲む習慣がついていないことが原因であると考えられます。
さらに、この問いに「嫌い」と答えた人に関しては、その理由も聞きました。その結果、「おいしくないから」という理由が大半を占めていました。ほかには、「飲むとおなかを下してしまう」「食事と合わない」などの理由が挙げられました。
以上の調査から、決して牛乳が女子高校生に不人気であるわけではないと結論づけました。しかし、牛乳の生産が過多になってしまうことがあるのは事実なので、その問題を緩和させる方法として、私たちが提案するのは、牛乳を用いたインスタ映え商品の開発です。

例えば、グラスをデコレーションするためのステッカーです。ステッカー自体は黒色で、牛乳を注ぐとかわいい絵が完成するといったものです。これがはやれば女子高生たちは興味を抱き、また牛乳を思い出すきっかけになるのではないかと考えました。ほかの案としてはタピオカドリンクが有力ですが、これは一時期だけの流行りで終わり、恒常的な解決には至らないと考えました。
そこで、より効果的だと考えたのは、牛乳ベースのミックスフルーツジュースのつくり方を広く普及させることです。なぜこれがよいと考えたのかというと、タピオカドリンクとは異なり、飲む人の健康にも配慮されている上、作る手間が少なめであると考えたためです。インスタグラムなどで、どの果物とどの材料をまぜ合わせたら何色になり、こういったようにデコレーションすることで、インスタ映えするオリジナルのミックスフルーツジュースがつくれるということが広まれば、多くの人がミックスフルーツジュースをつくるようになるのではないかと期待しています。
加えて、近年では美容外科の需要が高まっていたり、美容向け商品の売り上げが伸びていたりと、美意識が高い人が増えています。そのため、ビタミンが豊富でカルシウムも摂れ、さらにはおいしく、インスタ映えするとなれば、女子高生だけではなくほかの年代の方も興味を抱く人が出てくるのではないかと考えました。
続いての案はラテアートです。カフェオレなどをつくる際、単に牛乳を注ぐのではなく、牛乳で模様をつけることで楽しんで飲むことができます。店員さんがラテアートを行なっている姿も演出となるため、よい宣伝効果があると考えました。その一方で、牛乳ベースの飲料ではないという課題も見つかりました。
続いて、水に牛乳を加えたコロイド溶液はチンダル現象が起こるという性質があることにも注目しました。チンダル現象とは、光を当てときに、光の錯乱によってその通り道が見えるようになる現象のことです。この現象を利用すれば牛乳を利用した飲料のインスタ映えを図れると考え、光を利用した現象であることから、最近増加しているプラネタリウムカフェなどでの販売が有効だと考えました。
まとめますと、女子高生を対象に考えたとき、私たちは、グラス用ステッカー、ミックスフルーツジュース、ラテアート、チンダル現象による演出の4つの方法によって牛乳の需要を高めることができるのではないかと考えました。どの方法も確実に需要を拡大できるものではありませんが、インスタグラムを利用している人の多さから、その影響力は大きいと考えます。

出席者全員でフリーディスカッション

座長:
せっかくの機会ですので、全員でフリーディスカッションをしたいと思います。「ミルクの明るい未来のために牛乳の消費拡大に必要なこと」というテーマで、皆さんで、どうしたらもっとみんなが牛乳を飲んだり、使ったりするようになるかという話をしていきたいと思います。
まず、高校生のお二人(研究発表者)は、普段牛乳をどれぐらい飲んでいますか?
高校生:
「1週間に約2~3杯飲むというペースです。また、コーヒーをブラックで飲めないので、牛乳をよく入れています。最近は、すごい家に帰ってきてから寒いと感じることが多いので、ホットミルクにしたりもしています。」
「この1カ月間ぐらいから飲む量が増えたように感じていて(笑)。以前までは1週間で1杯ぐらいだったのですけど、最近は3~4杯飲んでいます。最近チャイティーラテにはまり出してしまったので、それにたっぷり牛乳を使います。」
出席者全員でフリーディスカッション
座長:
お二人の自宅では、牛乳は普通に1リットルとかのが冷蔵庫に入っていますか?
高校生:
「入っています。」
考える会委員:
先ほど、牛乳の飲用を増やすために、インスタ映えとミックスフルーツジュースの話が出てきたと思うのですが、高校生って、インスタとかすごくやっぱり影響力があるのかしらと。あとは、やっぱりミックスフルーツジュースって私たちよく、昔、風呂屋の番台のところに何とか牛乳とフルーツ牛乳とかがいっぱいあって。今はあんまり飲まないのかしら。昔みたいに、何とかフルーツ牛乳っていっぱい出たら、皆さん飲みますか?
高校生:
「私自身が調べたところ、一時期バナナジュースなどが流行っていた時期があったり、混ぜるフルーツによっても色が変わるので、それで自分の名前のラベルを張ったりというお店も流行っていたりしまして、そこでインスタにすごい上がっているのを見たので、流行ってるのかなと感じたのと、あと、私の友達でいうと、本当にインスタグラムはもうほぼ普及しています。私はフルーツ牛乳が好きです。」
考える会委員:
メーカーさんにお聞きしたいのですが、ミックス牛乳のような商品をまた発売する予定とかは有りますか?今も販売されていますか?
メーカーA:
弊社の場合は、関西地区限定でフルーツ牛乳は販売していまして、やっぱり関西の人たちは、ミックスジュースの文化があるらしいです。
メーカーB:
以前、関東圏内でも販売はしていたのですが、やはり販売量が全然違うということから、今は関西だけになっています。今お話しいただいたように高校生とか若い子にミックスジュースが受けるのであれば、ぜひ会社の中でもう一度提案してみたいと思います。
メーカーC:
フルーツ牛乳やミックスジュースとかという形ではないのですが、シリーズのカップ飲料で、フルーツラテシリーズ、ストロベリーラテとバナナラテというのがあります。
メーカーD:
フルーツ牛乳というものは発売していないのですが、キャラメルラテですとか、ほうじ茶ラテ、カフェオレ、そういうお茶やコーヒーに入れるというものがメインになっております。どちらかというとコーヒーに牛乳を入れるというよりも、クリームや牛乳にコーヒーを入れるという割と乳メインのものにしています。砂糖控えめなので、若い女子高生にはちょっとどうかな、映えるという点でも、色的にはちょっとまた違うのかなと、お話を聞いて感じていました。
メーカーE:
ペットボトルの牛乳のシリーズを出していまして、その中で、いま期間限定でいちご味の商品を出しています。この後、バナナオレを出す予定です。牛乳瓶の形をしたペットボトルで、ストローを刺しても、あとはごくごく飲めるという2ウェイの牛乳を出しています。
高校生:
「コーヒーとかでも、牛乳が下にあって上にコーヒーがあるというグラデーションのような、層ができているのはかわいいなと思ったりします。」
出席者全員でフリーディスカッション