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第74回 食品表示一元化について

牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

- 5. 具体的な一元化のイメージ -

具体的な一元化のイメージとしては、食品衛生法、JAS法、健康増進法の多くの条文がある中の食品表示の条文の部分を切り取って新法に持ってくるというイメージになる。

食品表示一元化後の法体系のイメージ
- 6. 具体的な現行表示 -

現行の表示は、下図の右の部分に示すように、主な表示項目は、原材料名、内容量、消費期限又は賞味期限、保存方法、製造業者等の名称及び所在地、アレルギー表示、原産国名(輸入品)、原料原産地名、遺伝子組換え、栄養成分表示とあり、基本的には義務となっている。ただし、原料原産地名、遺伝子組換えは、一部義務となっている。一部というのは、原料原産地名の場合、22の加工食品群と鰻の蒲焼きなどの個別の品質表示基準のある4品目について表示が必要とあるように、26の食品群では義務になっているが、それ以外の品目については特に義務になっていないため、このような表現になっている。遺伝子組換え食品も、基本的には遺伝子組換えを使った場合は表示の義務となるが、油や醤油のように、最終的な商品での検査で、遺伝子組換えしたタンパク質やDNAの検出が難しいものに関しては、表示しなくても良いという省略規定などがあるため、原則は義務であるが、省略規定等を考える、一部義務という分類にしている。
また、栄養成分表示は、任意であるが表示する場合にはルールがある、というのが現状の表示である。

現在の食品表示制度で表示すべき主な事項(加工食品の場合)
現在の食品表示制度で表示すべき主な事項(加工食品の場合)
- 7. 現行の食品表示の適用範囲 -

実際の売場ではどのようになっているのかを見てみると、「容器包装され、製造場所以外で販売されるもの」、これはごく普通の容器包装食品の場合であるが、JAS法、食品衛生法の両法とも表示義務がかかる。一方、「製造場所で販売されるもの(あらかじめ容器包装されたものに限る。)」、これはスーパーで惣菜がパックされて販売されているもの、例えばスーパーのバックヤードで調理、とりわけパックされている類のものを指すが、これらに関しては、JAS法の規定はかからないが、食品衛生法の規定がかかる、というような違いが生じる。「あらかじめ容器包装されずに販売されるもの(注文に応じて容器に詰められるものを含む。)」は、弁当屋などでオーダーに対し調理し包装して出すもの、肉屋等で量り売りしてその都度持ち帰り用に包装して提供するものを指すが、こういったものは両法とも表示の義務はかからない。また、「外食」、例えばレストランや焼肉屋でも、基本的には両法とも表示の義務はかからない。「インターネット等で販売されるもの(ウェブ上などの表示)」、これは、届いた商品自体に当然表示は必要であるが、ネット上で販売するに当たって、ネット上で表示規定がかかるかというと、現状ではかからない、ということになる。

現行の食品表示の適用範囲

主な表示項目を示すと、「容器包装され、製造場所以外で販売されるもの」は、JAS法、食品衛生法の両法の規定がかかるため、全て○(義務表示)となり、「製造場所で販売されるもの(あらかじめ容器包装されたものに限る。)」に関しては、JAS法の規定がかからないため、食品衛生法の規定だけが○になっている。具体的にはこの様に違いが生じてくる。

食品の表示の現状
- 8. 表示事項の優先度について -

このような表示に関して、一般的にはどのように思われているかを調査した。このデータは、内閣府国民生活局国民生活モニター調査「食品表示等に関する意識調査」で、平成14年度と平成20年度の結果を示している。平成20年度のデータでは、「あなたは、食品を購入する際に、下記の表示事項はそれぞれどの程度重要だと考えますか。(値段に関しては省いている)」に対し、1番は「日付」(賞味期限、消費期限を合わせて)で、9割以上の方が「重要」としている。次に「原産地」、さらに「添加物」、「原材料名」、「農薬、抗生物質を使っているかどうか(これは、表示には反映されない)」、「保存方法」、「国産品の原料、原産地」、「遺伝子組換え食品を含むかどうか」、「製造業者」、「内容量」、「栄養成分表示」、「アレルギー物質」、「食品の名称」の順になっている。もっとも、アレルギー表示は、数値的には低いが、食物アレルギーを持たれている方は必ず見る項目なので、他の項目とは同列では比べられないとは思う。

表示事項の優先度について
表示事項の優先度について
- 9. 現行の表示事項が分かりにくい理由 -

現行の表示が分かりにくい理由に関するアンケート結果では、「文字が小さいため分かりにくい」がどの項目においても高い数値を示している。やや特異的ではあるが、「栄養成分の強調表示」に関しては、「商品によって表示の仕方が違うので分かりにくい」が高い値を示した。この場合は、表示中の「カロリーゼロ」や「カロリーオフ」などが分かり難いというような内容と考える。「食品添加物」は他の項目とやや異なり、項目にバラツキがあり、「専門用語が多くて分かりにくい」、「記載内容が多すぎて分かりにくい」、「商品によって表示の仕方が違うので分かりにくい」などの意見も多い結果になった。

現行の表示事項が分かりにくい理由
現行の表示事項が分かりにくい理由
- 10. 食品表示を分かりやすく役立つものにするためには -

これらの意見に対し、分かりづらい表示を分かりやすくするにはどうしたらよいかを二者択一で尋ねたところ、「表示項目を絞り、文字を大きくする」が約7割、「多くの情報を載せる」が約3割という結果になった。一方、容器包装だけであれば表示項目に限りがあるため、ウェブやPOP表示等ではどうかを尋ねたところ、「できるだけ多くの情報を容器包装に表示する」、「容器包装以外の表示媒体(ウェブやPOP表示等)を活用して任意に伝達する」が約半々に分かれた。ただ、見たい時に容器包装表示に情報があればその場ですぐ判断ができるため、やはり容器包装表示は重要と考える。

食品表示を分かりやすく役立つものにするために