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第3回定時社員総会・懇親会を開催

去る5月16(金)、一般社団法人日本乳業協会の第3回定時社員総会・懇親会をホテルグランドパレスで開催いたしました。本年は役員改選期でしたので、総会での会長挨拶と懇親会での新会長挨拶を掲載いたします。

- 社員総会 中野会長挨拶 -

社員総会 中野会長挨拶

本日は、第3回定時社員総会へご出席いただき、誠にありがとうございます。また、会員の皆様には、平素より当協会の事業運営にご支援・ご協力を頂いておりますことを心よりお礼申し上げます

平成25年度はアベノミクスによりまして日本経済は回復基調にあると言われていますが、酪農乳業界におきましては、生乳生産の減産や円安によるコスト上昇など総じて厳しさを増す環境と先行きの不透明感が浮き彫りになった年ではないかと思っております。

こうした中、乳製品在庫の適正水準の確保に向けカレントアクセスの適切な対応が実施され、最需要期における大きな需給混乱が回避できましたが、生乳の減産基調にはまだ歯止めがかかっていない状況であります。

喫緊課題である生乳生産基盤の回復に向け、昨年の10月、飲用向乳価と牛乳価格の改定が行われました。更に、12月には早期の課題解決に向けまして関連諸策が示されるとともに、あわせて限度数量や補給金単価も決定されました。そして、26年振りにチーズ向用途が補給金対象へ復帰する等、新たな対応がなされております。

加えて、この4月からは北海道における乳製品向用途乳価の値上げが合意されました。減産に終止符を打ち、酪農・乳業産業成長のために生乳生産量増産への転換を期待する酪農・乳業者の共通の思いの結果と理解しております。

また、昨年のワールドデイリーサミットでは世界の人口増や新興国の生活水準向上により、牛乳・乳製品需要が増えるとともに、牛乳・乳製品の安定的な確保に懸念されるということを肌で感じました。既に、カレントアクセスの売り渡し価格が国内乳製品価格を上回るという、過去にない現象が国内でも発生しており、食料自給率向上と食料安保という視点からも早期の生産基盤の回復が期待されております。

もう一つ、TPPを始めとする経済連携交渉の進展ですが、TPPは日米合意が図れませんでしたが、引き続き今後の動向が注目されるところあります。また、日豪EPAに関しても、影響は軽微とされていますが、今後十分な影響検証と合意事項に関する実務的な内容の詳細確認が必要と考えています。いずれにいたしましても、将来の不透明感を助長する要因であり、酪農・乳業の双方が将来展望を描ける政策と必要財源確保に向けた中長期的な議論が必要かと考えております。

その意味で、今年度は「食料・農業・農村基本計画」や「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)」を見直す年でもあり、その議論が2月より始められておりますが、引き続き議論が行われ、その中で現状の不透明感を払拭し将来の発展につながる政策として具体化されていくことを期待しております。

さて、このような環境の中、日本乳業協会は平成24年度に続き「乳業経営の礎造り」をその役割と認識し、人材育成に軸足を置き品質・衛生向上に関する事業を計画通り推進し、普及啓発や食文化育成事業では消費者相談員を活用し食育授業やセミナー等を当初の計画以上に開催いたしました。需給対応や国際進展につきましては、安定供給に資する適切な対応要請を行い、経済連携等の動きにつきましては、会員皆様の意見を集約したパブコメ対応を行いました。

また、環境対応ではリサイクルの取り組として、全国牛乳容器環境協議会(容環協)に協力し牛乳パック回収を推進し、平成24年度の回収率は44.2%に上昇いたしました。また、再資源化率(96.43%:2020年度目標96%)や最終処分量(1310トン:2020年度目標5700トン)についても目標をクリアし、容器包装リサイクル法(容リ法)の見直し審議では、紙パックの再商品化義務免除を引き続き要望して参りました。

昨年中間報告をいたしました「3つの課題」につきましては、本日最終取りまとめを冊子としてお手元に配付させていただいております。

一般社団法人移行後に始まりました公益目的支出計画につきましても、当初の予定通り進めており平成26年度で終了できる見通しとなっております。

さて、平成26年度は、日本経済は消費税増税の一時的な影響を受けながらも、緩やかな回復基調が続くと見られています。一方、酪農・乳業界は生乳生産量に回復の兆しが見えず、厳しい経営環境が続くものと予測されております。こうした時こそ行政や業界団体は連携し、会員の皆様に様々な機会を通じてお知恵をいただきながら、ご承認いただきました事業計画を粘り強く取り組んでいくとともに、新たな課題に対しましても適切に対応していくことが必要かと考えております。

平成26年度における日本乳業協会の重点課題は、乳業経営の礎造りと成長の推進役という考え方を踏まえまして、昨年度に引き続き、

1)品質及び安全性の向上による消費者の安心・信頼の確保
2)牛乳・乳製品の普及啓発と需給の均衡
3)国際化の進展への対応
4)環境・リサイクル対策の推進
5)乳業事業の改善と合理化の推進

の5項目としています。

夫々の事業を推進するにあたりましては、既成概念にとらわれることなくフレキシブルに行って参りたいと考えています。詳細は、報告案件として後程説明いたします。

本日は、これより平成26年度事業計画と収支予算のご報告、並びに平成25年度事業報告と収支決算、今年度の会費徴収、そして役員改選についてご審議いただく予定です。慎重審議と円滑な議事進行にご協力をお願い申し上げますと共に、今年度が酪農・乳業を取り巻く不透明感が払拭され、明るい年となるよう願いまして、私のご挨拶とさせていただきます。

- 農林水産省 森牛乳乳製品課課長挨拶 -

農林水産省 森牛乳乳製品課課長挨拶

ただ今、理事会で会長に互選でご推挙いただきました株式会社 明治の川村でございます。何卒宜しくお願い申し上げます。

乳業界の発展のため、大変微力ではございますが、全力を尽くして参る所存でありますので、本日お集まりの皆様方の何卒、一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

まずもって前任の中野前会長におかれましては、随所にリーダーシップを発揮していただきまして、乳業界を強力にリードしていただきました。先程来の事業報告にもありましたとおり、乳業界が要望しておりました乳等省令等の一部改正の実現、あるいは積極的な食育活動による公益目的支出計画の実行、更には、酪肉近代化方針の策定に向けて乳業界の意見の表明、プレゼンテーションなど2年間に亘りそのリーダーシップには本当に敬意を表したいと思います。また、今後も引き続き副会長として微力な私を含めてご指導いただけることに感謝申し上げたいと思います。

役員の専務理事、常務理事として活躍されました方々は、本当にお疲れ様でした。中野前会長を支えて実務の面で一般社団法人としてスタートしたばかりの日本乳業協会を軌道に乗せていただいた功労者ではないかと、深く敬意を申し上げます。本当に2年間ありがとうございました。今後も酪農乳業に対しまして一層のご支援をいただければありがたいと思っている次第です。

先程来、乳業を取り巻く環境につきましては、縷々お話があったわけですが、日本経済全体はアベノミクスの着実な進行、最後の矢である成長戦略の行き場所がいまいち定まらないところがありますが、第一の矢、第二の矢が成功し今までとは違う回復基調にのっております。そうした一般の流れとは様相を異にしておりまして、円安による輸入原材料コストの上昇、あるいは昨年10月からの飲用向け乳価、今年4月からの加工向け乳価の値上げ等、乳業経営にとっては大変厳しい経営環境となっております。

あわせて、平成26年度の乳製品の需給見通しについては、生乳生産回復の遅れなどにより、適正在庫を確保することができた平成25年度から一転して、需給の逼迫が避けられないと予測されております。

一方、TPP交渉につきましては、なかなか中身を一般の方から伺い知ることができないのですが、引き続き注視していかなければならないということであります。合意内容によっては、国内の酪農乳業への影響を最小限に食い止めるべく、乳業協会としても政府等へ適切な対応を今後も強く求めて行くことが必要と考えております。

日本乳業協会の活動につきましては、先程の総会でご承認いただきましたように前年度に引き続き5つの重点課題を柱に精力的に取り組んでまいります。

事業推進にあたっては、乳協の役員の皆様、事務局と十分なディスカッションをするとともに、会員の皆様のご意見を傾聴する中でより良い方策を見出していきたいと考えております。

私ごとで恐縮ですが、私も乳業会社に入社して40年近い年月が経つわけでありますが、この40年間の中でと申しますか、近年非常に強く感じることがあります。酪農乳業は両輪だと言われてまいりました。本当に欠くことのできないパートナーとして両輪として歩んでまいりまいしたけど、ここ近年の中では、私だけの感想かもしれませんが、酪農と乳業というのは一体ではないかと強く感じてきております。一体の産業であり、抱えている課題も共通ではないかと強く感じております。端的な例を申し上げますと、いま酪農基盤の弱体化が強く叫ばれていますが、この酪農基盤の弱体化はもう少し別の観点から見ると乳業にとっても自らの存立基盤の弱体化に直結しているのではないかと強く感じているところであります。両輪の関係から更に一歩進めて、やはり酪農乳業が一体の産業として自らの課題を共有化して、その課題解決にあたる段階にきているのではと強く感じているところであります。一体の産業というところから何らかの突破口を見いだせないか、私なりに努力をしてまいりたいと考えております。

乳業を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。会員各位のまずはご協力と一致団結した取り組みと、あわせて本日ご参会の関係官庁皆様のいままで以上のご指導、ご鞭撻、生産者の皆様とのいままで以上に強い連携ということを基に、酪農乳業界の発展に全精力を傾け努めてまいりたいと思います。

最後に、重ねて日本乳業協会の活動へのご理解とご支援をお願い申し上げ、簡単ではございますが、新会長としての挨拶とさせていただきます。

当協会役員交代のお知らせ

新任
西尾啓治 副会長
岸上克彦 監事
退任
中野吉晴 副会長
山田藤男 監事