第71回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

20.質疑応答

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Q1.放射性物質に関する問い合わせに関し、乳業メーカーの状況を紹介していただけますか。
A1.
  • 最近のお客様からの問い合わせ件数は、1日数件程度に減少し維持している状況です。内容も以前と比較し穏やかなものが主流となり、とんでもない内容のものは少なくなっています。ただゼロリスクを求めるお客様は依然おられる。そのような問いに対しては、安全性を丁寧に説明しますが理解は得られない。最近までは、「メーカーには意見を求めていない。データだけを出せ。出せないので平行線。」というケースが時折ありました。
Q2.乳業協会の状況はどうですか。
A2.
  • 放射性物質に関する問い合わせは、最近は殆どありません。当時は水、育児用粉乳、学校給食の牛乳に関しての問合せがありました。米、野菜等の食材を通販で取っている方の、問合せというよりも自分の気持ちの対応を訴えるような入電があったことが印象に残っています。
    食育活動で学校に出向くことが多く、東京、茨城等では、「牛乳は絶対だめ。」とか「給食を拒否する。」ケースがあると聞いています。
Q3.新聞記者の立場から、読者からの色々な問合せがあると思いますが如何ですか。
A3.
  • 学校給食の話で、冷凍ミカンのケースで、放射性物質が基準値以下(3.2~11ベクレル/Kg)でも横浜と鎌倉で使用を中止した。ということを記事にしたことがあります。これをネットにアップするとツイッタ―にみんなが色々なことを書き込むということが発生しました。当初「当然だ。」という意見が多く書き込まれましたが、途中からは「対応がおかしい。」との意見が増え、最終的に半々のレベルになりました。
    また、読者応答センターには、高齢の男性から放射性物質の記事に関しては、「もう少し深く触れてほしい。」「線量を書いて欲しい。」とかの連絡があり、数値に興味が深いように感じました。
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Q4.過去には、輸入食品の制限:370ベクレル/Kgがあって、これを超えるものは水際で止めていたと思います。基準値が下がったことで、引っかかるものが増えると思いますが、問題ないですか。
A4.
  • ご指摘の通り、輸入品についても内外無差別で新基準が適用され、検疫所等で差し戻しになったものが数件出ています。各国は自らの食品流通形態に従って基準値を定めており、EUでは輸入品、国産品の割合の違いで日本より高い値(1000ベクレル/Kg)を設定しているものもあります。他の国、特にウクライナ、ベラルーシでは品目毎に日本よりも厳しい値を設定している場合もあります。これは国によって国産品をどれだけ食べているか何をどれだけ食べているか、食生活の違いによる基準の違いによると考えます。日本のようにたくさんの品目を多種類食べる、そのうち国産品が半分であるとの前提の国と、ウクライナ、ベラルーシのように自給自足に近く食生活が単調な国と同列には扱えないと判断します。今回の基準値はやや厳しい傾向ではあるが妥当と考えます。
Q5.日本は自給率が低く、輸入に頼らざるを得ない国でありながら、制限を厳しくすると、輸入できなくなる懸念があると思うが如何ですか。
A5.
  • 結論から言うと心配ありません。輸入品で放射線の基準で輸入差し止めになったのは、ヨーロッパからのきのこ、加工食品等、日本人の食生活全体から見るとごく端の方の物で、重要な魚介類、小麦、大豆とかからは出ていません。食料安全保障の観点からは問題ないと考えます。
  • 質疑応答
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Q6.今回の新基準値に関して、一番誤解され易いのは、介入目標値が1ミリシーベルト/年を基に規制値が下がり、この介入目標値の科学的安全性と政策目標、管理等の違いがしっかり伝えるのが難しいのではないかと思います。この点誤解のないようにどのような対応をされていますか。
A6.
  • お話しする例えとして、立命館大学名誉教授の安斎育郎先生のご著書を引用しています。去年3月まさに空から放射能が降っている時に、枝野官房長官が「食べても直ちに問題はありません。」と言っていたときのことを説明しています。安斎先生の言葉を引用しますと「500ベクレル/Kgを含む肉を200g食べました。これは何か体に影響があるのでしょうか?ないのでしょうか?」に対し安斎先生は「結論から言うと全く問題ない。というのも1キログラムあたり500ベクレルの放射性セシウムを含む肉を200g食べても、シーベルトに換算すると0.0016ミリシーベルト程度で、日本人が自然放射線を1年間浴びている量の1/1000程度であり、1回食べても誤差の範囲であり何の影響もない。」ということで、その意味から枝野官房長官の発言は間違ってはいない。ただ問題なのは前提を説明せずに「問題ない。」と言い切ることは丁寧な説明とは言えず、信頼を失うことになる。と安斎先生は批判されていました。
    このようなお話を引用しながら、数値に基づいた丁寧な説明に心がけています。
    今では空から降ってくる放射性物質はないといえる状況です。問題はホットスポットの土ですが、直接口に入るのは問題かもしれませんが、土からの放射線は、距離を置けば距離に反比例して影響は低下するため、こく近くに長時間ある場合以外は問題はありません。
    さらに、福島の子供達が浴びた放射線は、チェルノブイリで影響を受けた人達に比べ2桁か3桁低いレベルです。内部被ばくおよび外部被ばく双方に関して、今のリスク管理を続けることで、今後健康被害が生じることは考えられません。このような説明を行っています。
Q7.いろいろな場所で説明され、ご苦労されていると思いますが、説明されてご納得される場合と反論される場合があると思いますが、手応えとしてどの程度理解していただけたと考えますか。
A7.
  • さまざまな方が意見交換会に来られます。特に小さい子供さんをお持ちの方で、良くわからないけど不安である。話が聞けるなら聞いてみようという方。他方では、特定の学説を信じておられ、役所の言うことを論破してやろう的な方もおられます。
    前者の方に対しては、チェルノブイリの被ばく量に比べれば、2桁から3桁小さい値である。甲状腺に腫瘍がある子供が見つかったとの報道があっても、甲状腺に腫瘍があること自体は一般的なことであって、福島原発の事故と関係はありません。ただし、追加被ばくを少しでも少なくするために、基準値を守った食品だけが流通する体制を確立することが重要であります。との説明でご理解いただいています。
    ただし、「内部被ばくは外部被ばくに比べて何百倍も危ない。」「セシウムが入っているとそれだけで危険だ。」と信じている方では、何をどう説明しても「お前の言っていることは間違っている。」となってしまう場合もやはりあります。
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Q8.特定の学説を信じる人とかいろいろ説明しても分からない人とかがいるというのはよくわかりますが、100%説得はできないとしても、消費者教育として、基本的知識、判断力、受け止め、理解ができるような、基本的なところが全体に行き渡るような教育を期待しますが、現状と今後の見通しは如何でしょうか。
A8.
  • 昨年来、このような取り組みを始めた時以来、当時の消費者庁は、「一方的に安全です、安心して下さいというのではない。正確な知識を伝えること。国の取り組みを説明すること。食品安全の基本として生産者、流通事業者、消費者、行政全ての関係者が協力し合って食品安全は実現していくものである。食品安全の基本に立ち返ったことを説明すること。それを基に消費者に判断いただき、具体的な消費行動に移っていただく。」と説明しており、このスタンスで継続しています。昨年度は45回、今年度は計画を含め98回説明会を行っています。また4省庁連携でシンポジウム形式でも行っています。これらをいろいろな角度から積み重ねることで正確な知識を伝え、消費者の皆様の判断の材料にしていただければと考えています。
  • 質疑応答
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Q9.子供向けのパンフレットもあるのでしょうか。計画はあるのでしょうか
A9.
  • 文部科学省が小学生向け、中学生向け、高校生向けの副読本として作り各学校で配布しているところです。内容は極めてわかり易いのは事実ですが、基準値等は副読本には細かすぎて載せられないところがあり、これからの課題と考えています。
Q10.放射性物質の測定に関しては、時間がかかるのと機器の値段が非常に高いですが、これを農家、流通のところに持って行くご苦労があると思いますが、機器の技術革新の展望はあるのでしょうか。
A10.
  • 既に様々なメーカーでもっと簡易なものの開発は進んでいます。ただ国としては、それらの測定器が正しい値を示す精度が確保されているのかどうか、まだ確信が持てていないので、それらを検査の手段として全面的に採用するに至っていないという状態です。ただ、確からしさが確保されれば、そういった測定器を採用していくことは考えられます。
Q11.今回新しい基準値になりましたが、今後近い将来、また、新たな値に変わりうる可能性はあると受け取ってもよろしいですか。
A11.
  • 今の基準値はかなり厳しいものですが、新しい科学的知見が出てくれば、また新しく評価して変わることは論理的にはあり得ます。ただ、3300の文献を調べて到達できる限りのことを考えて、この基準値を作りましたので、それを超える何かの新しい知見が出てきて、それをもとに新たな評価をするというのは、よほどのことがないとないのではと思います。
Q12.放射性セシウムの基準値というのは、ヒ素などの有害物質の個別の基準値と同じであって、食品の放射能という見方をするならばカリウムも同じです。消費者への説明でカリウムを除いてしまったら誤解されることになります。カリウムとセシウムを常に併せて説明していただく必要があると思います。
A12.
  • 今日は確かにカリウムの説明を省いてしまいました。カリウムも当然食品に含まれています。普通に食品を食べていてもカリウムの0.01%は放射性物質のカリウム40であるため、自然放射線による被ばくの一種として説明することもありますが、これが逆に誤解を招きやすい場合や、さらにこのような説明を行うことにより、原発由来の放射性物質による影響を過小評価するものとの意見をいただくこともあります。このため、丁寧に、誤解のないように説明していこうと思います。
<参加者からのコメント>

●このような事件が起こったことに対し悲劇的にとらえる部分と、現在過渡期でぎくしゃくする部分、過剰に反応する部分はあるものの、今をいい機会と捉えて放射線、放射性物質をみんなが学習する機会が与えられ、自分の物として学習していきたいと考える部分があると思う。ただ、広島、長崎の経験を経ているために過剰反応があることを十分把握し心がけて対応していかなければと改めて今日のお話で感じました。

●仕事がら、カレイ・ヒラメ・貝類を使っての料理に対しては「大丈夫ですか?」との質問があり、現地からの「安全証明」が大きな拠り所になっています。今後もきめ細かく出していただき、消費者が納得していくような地道な努力をお願いいたします。このような活動が需要を戻していくと思います。

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