第94回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

容リ法の施行から現在までの流れ

これは容器包装リサイクル法の現在までの流れです。平成7年に成立し、平成12年4月に完全施行されました。完全施行というのは、要は散乱するということで、先行してもともとガラスびんとペットボトルだけが容リ法の対象でしたが、そこに紙製容器とプラスチック容器が加わって、今の4素材になったのが平成12年ということです。
10年ごとに見直していくため平成16年から1回目の見直しがされました。そこで決められたのが市町村に行く拠出金で、市町村の努力も認めると決められたものです。
その後、2回目の見直しが平成25年9月から28年6月に行われましたが、法律的に変更はありませんでした。なぜかというと、容リ法には、メーカー、市町村、リサイクル業者、消費者などと多くの関係者がかかわってきており、また経産省や環境省の考え方もあり、利害関係や納得感、お互いの主張もあって結局まとまらなかったということと思っています。

容器包装リサイクル法の主な議論1

今回の容器包装リサイクル法の見直しにおける主な議論として、まず一つ目は「役割分担の変更」についてがありました。先ほどご説明した拡大生産者責任の原則から、容器包装の処理責任がもともとメーカーにあるのであれば、市町村に収集させて、そのお金を自治体が払うのはおかしいのではないかと言う自治体がありました。それに対しては、今の仕組みで容器包装のリサイクルが進んでいるから今のやり方で機能しているのだということと、収集に掛かっている費用が自治体によって大きく違うため、支払うのはメーカーとすると収集段階の合理化が進まず費用だけが使い放題になりかねない、ちゃんとその辺の決まりを作らないうちは事業者が払うことはできないという議論がされました。
二つ目に、「プラスチックの再商品化手法」についてです。プラスチックには、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリカバリーというのがあり、マテリアルというのは溶かしてプラスチックに戻すもの、ケミカルというのは一旦化学分解して小さな分子にしてプラスチックなどに再合成するというもの、サーマルは燃やして熱利用ということですが、今はマテリアル優先枠というのがあって、プラスチックを溶かしてプラスチックにすることに一定枠が設けられています。プラスチックと一言で言うと同じもののように思いますがいろいろな種類があります。用途によって固いもの、柔らかいもの、溶けやすい等いろいろあるわけで、それを全部まとめて溶かしてリサイクルすると、また同じように様々な用途に使えるものになるかというとそんなことはなくて、混ぜることで劣化して、特定の用途にしか使えないようなプラスチックにしかならないのが現状です。さらにリサイクルコストも高いためにそれを優先して進めるべきなのかという問題がありますが、今はまだ技術発展途上なのだから、もうちょっと待ってくれということになり話があまり進みませんでした。

容器包装リサイクル法の主な議論2

三つ目に、今日のテーマである「環境配慮設計の推進」についてです。これは市民から、いろいろな容器を市場で見るけれど過剰包装が多いのではないかというご指摘があることに対して、我々事業者からは容器を減らす努力はしており、これ以上包装を簡略化すると漏れたり中身が腐ったりいろいろな問題が出る可能性がありますという話をしています。議論の場におられた有識者からは、もっとちゃんとやっていることを説明しなければいけないのではないかというご指摘がありました。これに関しては、後でも説明しますが、包装の最適化に関するJISもできて、それに沿って説明できるようにすればいいのではないかという話になりました。

容器包装リサイクル法の主な議論3

もう一つ、本日の本論から離れるかもしれませんが、「紙」の容器識別マークについて。今日配られている牛乳にもこの「紙」マークが付いていると思いますが、実は通常スーパーなどで売られている屋根型の容器には「紙パック」というマークが付いています。今日の牛乳容器にはアルミが入っているので「紙」マークが付けられていますが、「紙」マークが付いているから紙としてリサイクルできるのかというと、実は紙のリサイクル業者からは、ポリエチレンのラミネートは異物であるからリサイクルしにくい、だから一緒にしないでくれということを言われています。そこでラミネートされた紙は「紙」と別なものとして別なマークをつけようという提案がされました。ラミネートされた紙のうち牛乳パックなど一部は既に「紙パック」マークがつけられ別収集されていますが、これらはポリエチレンを除く技術がある再生紙業者に持っていけるのでリサイクルできていますが、アルミが付いていると再生紙にした時にアルミが残る可能性があり、再生紙としての商品価値を下げるということで、「紙パック」からも除外され、現在のところ結局「紙」に戻っているというところです。ただ、お客様にしてみれば、紙だけで何種類もマークがあるとわかりにくいのではないかとか、そんな議論があったところです。

  • 容器包装リサイクル法改正の取りまとめ1
  • 容器包装リサイクル法改正の取りまとめ2

最終的に取りまとめられたのは、それぞれの主体が次の見直しまで動けることはやろうということで、国が中心になって有識者や関係者と連携しつつ検討するもの、審議会のサブグループなどで検討するもの、国が中心となって取り組みを実施するもの、指定法人(容器包装リサイクル協会)が中心となって実施するもの、あとは事業者・消費者・自治体が中心となって取り組みを実施するものに区分され、我々事業者にやってくださいと言われたことは「E」のグループに書いてあることです。
環境配慮設計に関する情報提供ということでは、先ほどの紹介の中にあったようなものが必要だということがありました。
あとは、リユースびんの利用促進のための利便性向上の工夫というところで、リユースびんを使うところにこだわりがあるのですが、その辺についてもそれなりの対応はしているという説明はしていますが、こういった背景があるということです。

牛乳容器の歴史

ここからは、牛乳容器について乳業界はどのように進んできたかを説明します。
牛乳容器は、昔はこういった大きな乳缶に入ったものを量り売りしていました。それを明治14年頃に少し小さな容器に入れて売るようになり、その後明治32年に今の形に近い牛乳専用のガラスびんが登場しました。昭和3年にはこの当時は衛生環境も悪く、食中毒が起きたり、腐ってしまったということが多々あったと想像されますが、警視庁令で牛乳びんに紙キャップという形ができました。1930年代になって紙パックが登場して、1960から70年代になって1リットルや500ミリリットルの屋根型の紙パックがスーパーで売られるようになりました。1980年代になってレンガ型紙パックという、中にアルミが貼ってあって密閉性と遮光性が高いことから、これに詰めた牛乳は長期保管ができるということで、常温保存認可がされました。
容器の進歩と同時に、実はこの後ろには殺菌技術の進歩があります。初期の頃はおそらく低温で殺菌していたと思われますが、紙パックが登場した頃からHTSTだとかUHTといった短い時間で温度を高くし、殺菌を強くしながら風味がなるべく残るような殺菌の仕方が普及し、それに容器の進歩が相まって賞味期限が延びていきました。言わば、牛乳容器の歴史と殺菌技術の歴史があいまって賞味期限を延ばしていったということです。

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