第92回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

Q10.酪農女子というのは、どの様な形で酪農に従事している方たちで、その増えている要因や、年代層は。酪農のイメージはきつい、大変、休みがない3Kの部分は、どう乗り越えて女性が増えているのか。
A10.
  • 農業高校の男女比を見ると、女性が非常に多い。将来酪農の仕事がしたい、動物に関わる仕事がしたいので入学する。昔の酪農はとてもきつい仕事だったが、色々な機械がうまく動いているので、力がなくても酪農が出来る様になりつつある。何よりも女性が一番素晴らしいと思うのは、牛の気持ちが分かること。搾乳でも、男の人が牛を集めてきて搾乳する時には、早く行けよとやりたがる。すると、牛は気持ちで生きている動物なので、追われる人によって牛乳の量が減る。だから、女性が後ろから行って、はい、行こうねと言うと、牛は素直に従って牛乳の量も増えたりすることもある。昔よりは女性が活躍できる部分がとても増えてきた。牛のことをいたわったり、女性に向いていると思う。
    女性が牧場の現場で働いているのを伝えていくこと、女性でも出来る仕事にしなければいけないとか、女性が働きやすい環境もこれから考えなければいけない。
Q11.エコフィードという餌は、乳牛よりむしろ肉牛の方が良いのでは。食品のカット工場は全国的に増えているので、このアイディアは全国的に広まる流れにあるのか。
A11.
  • 肥育に使うと良いと思う。肥育をやっていて、まず一番先にこの餌を食べるのは肥育牛。ダイレクトに牛乳に影響するといけないので、肥育牛に食べてもらって、美味しいかどうかを確認して、それからやる。ただ、肥育の場合はどうしても穀物をあげて、その脂肪交雑を作っていく。霜降りの肉にしていかなければいけないので、こういうものをあげるとやはり出来にくくなる部分はある。なかなか難しいこと。
    もう一つは、ミキサーが買えない農家も沢山ある。そういうところのために、TMRセンターで、何軒かが使う餌を給食センターみたいなところで一編に作って供給するという方向が北海道ではかなり補助事業が入って行なわれている。本州のカット野菜の工場や、食品工場の多い首都圏で、そういうものを上手に使うシステムを国としても考えて欲しいと思う。餌は全て分析を掛ける。アメリカまで送って分析を掛けて、栄養価がどれぐらいあるかとか行なわなければいけないので、個人では中々出来にくい部分もある。どこかが支援をしてTMRセンターの様な給食センターを作って有効利用すると良い。
Q12.漁業や農業の第1次産業は、気候に左右される部分が多く、収穫に変化が起きているが、酪農に関してはどうなのか。
A12.
  • 酪農も非常に気候に変動される。一昨年、北海道では大雨で、牧草が収穫出来なく、外国から餌を沢山購入した。十勝の酪農家は牧草を収穫するために何千万円もするトラクター、収穫機を買い、それを持ちながら収穫が出来ないことになると、大変経済的には苦しいと思う。
    気候変動に対しては、他の農産物よりは牛乳は強いと思うが、一昨年の十勝は本当にひどく、酪農家が牛を飼いきれなくて、何とか譲っていただいて、こちらで飼ったりもしている。
Q13.子牛バブルで特に和牛が売れていて、和牛の子牛を産ませる借り腹でお金が掛かると思うが、従来の人工授精と原価が異なり、バブルが弾けたら今の借り腹は収束していくのか。それとも和牛人気が続いている以上は、新しい技術として酪農をしながら和牛の子牛を作る事業形態が続くのか。
A13.
  • 子牛バブルだけではなく、初妊牛バブルもある。初妊牛は初めて妊娠する牛。本州の酪農家は土地が狭い中、生まれて2年経たないと牛はお産をしないので、その2年間を北海道で飼ってもらったりする。その生まれて2年目の牛を初妊牛と言う。それが高い。何故かというと、後継牛を作らずに、肉牛をお腹に入れるので、後継牛が不足しているため高くなる。すべての牛が高くなる。技術的に受精卵移植はとてもコストも掛かる。1個の受精卵が血統が良くなければいけないので、5万円とか10万円。受胎しなければ5万円、10万円が流れてしまうので、とても経費も掛かる。それでも受胎して生まれてくれば、30万円、40万円になるのでお腹は貸す。そうして和牛を支えている。
    残念ながら和牛は、かなり外国に行っている。今後も恐らく日本の和牛は評価を受けるので、何らかの形で生産もしていかなければいけないと思う。ありがたいことに、今産み分けの精子がある。精子にはXY染色体があるが、雌が生まれる精子だけにしてしまう。それを付けると90%の確率で雌のホルスタインの子牛が生まれるというのがある。確実に後継牛を取って、残りは肉牛を作る形にしている。バブルはいつかはじけるので、多分そういうことが上手に回ってくるとバブルがはじける時も来ると思う。
  • 質疑応答
  • 質疑応答
Q14.全国的に後継者不足の中、ご子息の後継があるのか。また、1,500人以上の体験ファームを受け入れているが、宿泊も含めて行なっているのか。対象者、内容などどの様なことを行なっているのか。
A14.
  • 体験は、うちの牧場の牛乳を飲んでいる子供達が中心である。うちの牧場の牛乳は全て学校給食用牛乳になっている。牛がどの様に暮らしているかを見てもらいたいので、乳業メーカーにも若干お手伝いしてもらいながら行なっている。スクールバスがあり、課外学習で来て、乳搾り体験をして帰ることもある。
     宿泊は一切なくて、あとは夏休みの野球とかサッカーの合宿で沢山来る。民宿があり、1日ぐらい牧場体験をしたいということで、民宿のバスが送り付けてきて、牧場体験をして帰ることも行なっているので、大人数になっている。
     一人息子は継がないと宣言をしている。今まで続けてきた牧場があるので、誰かにレンタルしたい。幸いなことに、ログハウスと牛舎は、住んでいる生活空間とは違うところにある。牧場を継承する時に一番問題になるのは、住んでいる家と牛舎がくっついていて、牛舎を貸すのが中々嫌だということがあるが、幸いなことにそれがないので、もし息子が継がないなら、牛と施設を誰かに貸したいと思う。牧場の火は消したくないと思い、今一生懸命努力している最中。
Q15.日本では何故牧場のレンタル制度が根付かないのか。血縁でという感じなのか。
A15.
  • 恐らく酪農を止める時には、施設や機械が全て駄目になっている。ヨーロッパは、地域によってはレンタルで出来るから、止めるにしても機械は直しておいた方が良いねみたいな感じで直すので、根付いていると思う。
Q16.今年の冬の大雪で、何か考えられる影響は。
A16.
  • 牛乳は、毎日出荷しなければいけないので、集乳車が道を通れなくなると、牛乳は何日も捨てることになる。幸いなことに今までは指定団体制度という中で、それを補填したり色々なシステムがあった。それが若干これから難しくなってくる部分もあるので、今後非常に心配である。個人的にうちの場合は、寒くて苦労している。マイナス10度まで下がって、牛舎は囲っていないので、牛がとても寒がり、もう少し栄養のあるものをあげないとと思う。水道が凍って搾乳が出来なかったことも。牛が死ぬことはない。
Q17.牛も雌雄を識別するけど、その中に同じ雌が2頭来た場合に、好き嫌いの様な感情はあるものなのか。
A17.
  • ある。乳業団体に補助を頂き、うちには、オーストラリアから雌2頭牛が来た。群れの中で、その2頭は常に一緒にいる。うちでは、ホルスタインとブラウンスイスとジャージー種を飼っている。ブラウンスイスとジャージー種は茶色く、必ずいつも茶色の牛は、同じところで寝ている。
  • 質疑応答
Q18.人間に寄ってくることは。
A18.
  • 人工授精するので、牛は21日ごとに発情が来て、繁殖期を迎え、牛が寄ってくる。今日は、種付けしなと寄ってくる様な気がする。そういう時は、自分に乗っかったりしたり。牛は発情のためにマウンティングをする。牛に乗るならいいけど、自分に乗る牛もいる。人工授精を失敗すると群れの中にいられなくなる。子供ができない牛は乳を搾れなくなるので。
    よく牛乳が嫌いな人達が、牛はかわいそうだ、無理矢理人工授精で妊娠させられてと言うが、牛の生活を見ていると、今日は種付けするんだよと朝から自分に言っている様な気がする。牛と一緒に暮らしている様な姿を見れば、多分色々なことが変わると思う。映像で牛をたたいている姿を一般の消費者が見ると、牛がかわいそうと言うが、自分は牛と一緒に働いて、牛のパートナーであり、色々な発信をしていないから、変な画像ばかり出てきてしまうのかなと思う。牛が好きでなければ絶対牧場では働かないし、酪農は出来ないと思う。
Q19.98%人工授精で、残り2%は何か。
A19.
  • 雄を飼って自然交配している牧場もあるが、日本では、ほとんど雄牛は飼わずに人工授精。
Q20.牛にも人間の好き嫌いがあるのか。
A20.
  • あるかもしれない。嫌いな獣医が来ると途端に逃げるということはある。好き嫌いは、牛同士でも、人間に対してもある。

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