第90回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

アレルギー疾患羅患数

アナフィラキシーは、子どもはほとんどが食物で起こる。大人は蜂毒とか、あとは薬物によって起こす人が多い。2004年の文部科学省の調査では、約670人に1人が学校に入る前にアナフィラキシーを経験したことがあるというデータがある。
食物アレルギーの多くが、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎と合併して見つかることが多い。だから湿疹がある方というのは、食物アレルギーを発症するリスクが高いと考えられている。あとは食物アレルギーやアトピー性皮膚炎がある方は、後々気管支喘息も発症し、さらにその後にアレルギー性鼻炎を発症してくると考えられている。
赤ちゃんは、アトピー性皮膚炎から食物アレルギー→喘息→アレルギー性鼻炎というように、アレルギーの病気が移り変わってくる。これはアレルギーマーチという言葉で示されることもある。
今若い人たちで、血液検査や皮膚テストをすると、ダニやスギ花粉に対してIgE抗体を持っている人は、2人に1人位である。アレルギーになる人が特殊だと思う方が結構いるが、今は日本人の若い世代の半分位はこの状況にある。
ただし、IgE抗体を持っていることとアレルギーが発症することは少し異なる。スギ花粉症の人は、多く見積もって30%位で、IgE抗体を2人に1人の人が持っているとしても、さらにその50%ぐらいしか実際にはスギ花粉症ではないということになる。
学校での調査をみると、喘息は日本ではあまり増えていない。アトピー性皮膚炎は逆に小学校以上だと減ってきていて、アレルギー性鼻炎や結膜炎はまだ増加傾向にある。
今日のテーマである食物アレルギーは、前回の2004年から9年間後の2013年に全国の学校で調査をした。その結果、アレルギーは2.6%から4.5%に増えており、学校に入るまでにアナフィラキシーを起こした人は0.14%から0.48%と9年間の間に3倍になっていた。したがって、食物アレルギーは全体的に人数も増えていると考えられている。

食物アレルギーにおけるアレルゲンの吸引と症状出現

食物アレルギーの原因物質は、最初、口の粘膜を経由して入ってくる。最近果物や野菜などを生で食べると反応する人が結構いる。口腔アレルギー症候群(OAS)と呼んで、元々は花粉に対して反応を持っている人が、例えばリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、これらはバラ科の果物で、バラ科の果物はシラカバの花粉やハンノキの花粉やブナの花粉など木の花粉と形が似ている。本当は花粉症を発症するが、果物を食べると口の中で、似たものが入ってきたと、体が誤作動する。スイカやメロンでもある。その場合、ブタクサの花粉やイネ科の花粉の花粉に反応して起きてくる。
生で食べると問題を生じるが、リンゴアレルギーの人は焼きリンゴにすると食べられる人が多い。生だけが口の粘膜で反応し、早く症状が出る。しかし、原因物質は熱に弱く、果物も加熱したり、加工したりすると問題なく食べられる場合が多い。
どうして口の中の症状だけにとどまるかというと、消化に弱いのが理由である。すなわち、口から入って食道を通って胃に行って十二指腸に行って、いろいろな消化酵素に混ざり、胃ではペプシンというタンパク質を壊す酵素が出て、原因物質を壊す。リンゴは口の中では症状が出ても、原因物質が形を保って腸まで辿り着けない。それで口腔粘膜でしか症状が出ない。
牛乳の原因物質としてカゼインがよく知られている。カゼインの他にβラクトグロブリンなどの乳清タンパクもアレルギーを起こす原因物質である。特にカゼインという物質は、口から入って胃に行ってペプシンに接触しても壊れない。だから、十二指腸をさらに通って、小腸からも吸収されて、血液に乗って全身巡り皮膚や肺に到達したりする。それでアナフィラキシーとかが2時間以内に起きてくることになる。
2012年12月に調布で、小学校の給食でチヂミという韓国料理にチーズを練り込んだものを食べて、アナフィラキシーで亡くなった事故があった。食べてから30分位して非常に具合が悪くなった。牛乳に換算すると5ml位で実際にアレルギーからアナフィラキシーを起こして亡くなった。
原因物質の側から見ると、熱や消化酵素に対して不安定であることが、アレルギーを起こす強弱に関する一つの要因である。卵の中にも熱に不安定な物質があり、オボムコイドという物質が知られている。ピーナッツやクルミの中の貯蔵タンパク物質も知られている。
何故子どもに多いのかを考えてみると、子どもの消化する能力が大人並になるのは3歳位で、胃酸のpHが成熟してくるのが3歳以降である。ユッケを食べたO-157の感染症は、大人と子どもが同時に食べても必ず子どもが重篤化する。胃酸や成熟度が足りないことが関係する。要するに殺菌や消化が影響しているのである。
昔から子どもには、3歳位になるまでは生ものを食べさせてはいけないことが、当たり前の常識だった。おばあちゃんからお母さんに伝わって、守っていたのが、最近はあまり伝承されていない。

臨床型分類

乳児の食物アレルギーの中心は即時型と言って、皮膚にじんましんが出たり、アナフィラキシーと言って、非常に苦しくなるものが多い。一般的に食物アレルギーでは、赤ちゃんの時に湿疹が先行して出てくるが、まだ本人が一度も原因物質を食べていないのに、例えば卵とか牛乳に対してIgE抗体が作られることが起こる。
生まれたばかりの赤ちゃんの消化管アレルギーの場合には、乳児用調製粉乳が原因としてあげられるが、IgE抗体は関係してこない。下痢や血便が500人に1人ぐらいの赤ちゃんに起きる。新生児期に特に問題になるので、産婦人科に入院している時に見つかることが多い。
子どもの果物アレルギーは、小さな子どもだとバナナのアレルギーが多く、学童期位になるとキウィフルーツのアレルギーが多い。それらは花粉とか関係がなく、純粋に果物に対して反応を獲得する人が多い。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIAn)という病気もある。日本では小麦や麺とか、あとはパンを食べて、食べただけでは何ともないが、食べた後に2時間以内位に激しく動いたりするとアレルギーが起きてくるという病気がある。中学生とか高校生に多い。あとは甲殻類や果物類も原因として起こる場合がある。これは診断がしばしばつかないことがある。体調が悪かったり、薬を飲んでいたりして起きてくるとか、症状の再現性がないことがある。あとは運動が加わったり、とても体が疲れていたりとかの状態も影響してくるので、なかなか診断がつかず繰り返すアナフィラキシーの原因になることもある。赤ちゃんから子どもに多いのは、卵・牛乳・小麦で、大人に多いのは、エビ・カニ・魚・果物・そば・ピーナッツである。子どもは治りやすいが、小学生以上から大人の方が発症した場合は治りにくい。

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