第87回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

先ほどの47年から今度は58年に飛ぶのですが、この10年間ぐらい制度が変わらなかった時代です。私も就職した頃ですのでよく覚えているのですが、当時の消費者運動と言いますか、特に添加物に対してご意見のある方が多かった時代であります。今となっては何でだろうと思うのですが、後でも出てきますが、天然・自然でない不自然なものと言いますか、そういったものに対する感情的なものがまずあって、過去にも添加物でいろいろな問題があったことや食品衛生法でなぜ添加物の規制をしているかというと化学的な合成品による事件が起きたり、もっと言えば、ちょっと鮮度が落ちてしまったような食品でも、添加物を使用することで見た目を良くするというようなことが昔あったんです。当時、もうそれ以上添加物を増やすなだとか、化学的合成品に反対する考えが、そういった考えが非常に大きかったということです。
ただ、そうはいっても外国からいろいろな輸入食品が入ってきますし、外国からの要請、あるいは実際に貿易上のトラブルもあったと思いますが、日本で認められていない添加物を認めてくださいという内容の要請が各所からあるということで、当時実際に担当された方は苦労されたと思います。だから添加物の新規指定がしばらくできなかったんです、あの頃は。どうしても諸般の理由で新規指定をしなければいけないということで、新規指定添加物と従来から表示が必要とされていた添加物を含む表示の方法をそのとき一緒に改正して、新規指定はするけれども表示はしますよという形で認めたということです。ただ、今でもそうですけど、物質名と言いますが、添加物がどういう物質なのかということが分かるように書きなさいと。それから、用途名と言いますが、ここに書いてある八つの用途として使用される添加物を、その用途として使用する旨を一緒に書きましょうと。今では当たり前のことなのですが、ただ、当時ですね、その裏返しとして、合成は駄目だが天然はいいという極端なお考えの方も多くて、事業者の方もやはり合成よりは天然を使うって言うことで、天然がいいか悪いかはともかくとして、そういった風潮があったということです。

添加物を含む食品の添加物表示(1)

これは牛乳・乳飲料のうち常温保存可能品ということで、今では店頭で見掛けることが少なくなってきましたが、これも昭和60年ですから、1985年に、それまでは常温保存ではなく要冷蔵であったということで、いわゆるLL牛乳、ロングライフミルクと言われていたもので、10度以下で保存することを要しないと当時の厚生大臣が認めたものを常温保存可能品ということで規定をして、その中で表示については常温保存可能品ということと、保存の方法ということで、常温を超えない温度で保存をするということ。それからもう一つ。これが一番最初だったのですが、品質保持期限ということですね。これは、常温保存可能品ということで最初は2か月ぐらいの期限表示だったと思いますが、今までにない、それまでは製造年月日表示ということだったのですが、品質保持期限を表示するとされました。

常温保存可能品について

その後、添加物対策はまだ終わっていなくて、先ほど申し上げたように昭和63年ですが、化学的合成品である添加物、それからこれと同一の物質ということで、全て表示の対象としましょうと。ただし、化学的合成品である添加物について、その栄養強化の目的の添加物。それから加工助剤というのは例えば濾過をする時にいろいろな濾過助剤と言うのですが、そういったものを使用したり、キャリーオーバーは原材料に添加物を使っていて、それが製品に移行することを言いますが、製品に移行してしまうということで、これを除いて全て表示しましょうとされて、今の流れにかなり近付いて、物質名・用途名を表示しましょうと。それから、化学的合成品以外の添加物は、いわゆる天然添加物と称していたわけですが、化学的合成品である添加物と差異を設けないということで、天然のものの方が安全だとか優位だとか優良だとかですね。そういったことの表現の使用を認めないことにしましょうというふうになります。

添加物を含む食品の添加物表示(2)

その後、翌年、平成元年に化学的合成品以外の添加物の表示について、規則等の改正により化学的合成品か否かにかかわらず、全て表示ということです。表示はこうなったのですが、食品衛生法自体には添加物の規制がありまして、認められた添加物しか使用してはならないとなっていたわけです。それは化学的合成品だけだったのですが、平成7年に食品衛生法の一部改正ということで、先ほど申し上げた添加物の範囲を化学的合成品の添加物から、天然香料、一般に食品として飲食に供されているものを除いた添加物ということになり、その飲食に供されているものというのは、通常食品としても食べるけれども、例えば色を付けるとか、そういった用途にも使う場合は、食品だからいいでしょうということで、天然香料も問題ないでしょうということで、それ以外の化学的合成品であろうとそうでなかろうと、認められたものしか添加物として使用できませんというのが、この時の改正になっています。従って、併せて先ほどの添加物の表示というのが基本的にということですが、全ての添加物の表示にすべきことになったということになります。先ほど申し上げた昭和の終わりぐらいから平成に掛けてということですが、最初に私が申し上げていたように、添加物は認められたものしか使用できないわけですから、基本的に使い方さえ間違えなければ全然問題ないわけです。ただ、そこに何らかの問題があると思われる方が非常に多かったということで、取り締まりと言うよりは、情報提供ですか、そういう形に大きく変わったなと思います。だから食品衛生法が変わったわけじゃなくて、そのような世の中の流れの中で、添加物が象徴的な存在であったと思いますけれども、食品衛生法の目的と言うよりは、表示制度が衛生上の取り締まりという観点からプラスアルファと言うか、情報提供と言うのか、その流れが今につながってきているのだと思います。これは私自身がそう思ったということですが、そのような流れで動いていったということです。

添加物を含む食品の添加物表示(3)

それ以降、そのような流れは非常に大きくなりまして。国際基準、CODEXはご存じだと思いますが、そういったところの流れもあったのですが、平成13年にアレルギー物質を含む食品の表示、いわゆる特定原材料の義務化ですね。現在はエビ・カニ・小麦・そば・卵・乳・落花生ということで7品目が特定原材料ということで、それ以外に特定原材料に準じるものとして推奨表示として20品目あります。ほとんどの牛乳・乳製品は乳成分主体ですから、乳という言葉がどこかにあれば問題ないと思いますが、アレルギー表示も非常に大きな変化ということですね。それからもう一つは、遺伝子組換えということですが、これもご存じだと思います。遺伝子を組み換えた食品が問題かどうかというと、事前に審査をしていますから、実際に審査がOKなものは問題ないという結論ですが、これも情報提供と言うか、そういった形で安全性審査と表示が義務化されたという流れになっています。
それからアレルギーについて言うと、当時は今までの経緯から行くと、原材料としてそういう情報を知るというのはあるのだけれども、アレルギー患者さんはもともとアレルギーだということを自覚しているのであれば、そういったものを避けているはずだから、自分で注意すれば問題ないのではないかと当時は私も思っていたのですが、今となってみると、やはりその表示が頼りと言いますか。昔は例えばお店に買いに行って、お店の人に何が入っていますかと聞けば良かったのだけれど、今はほとんどパッケージされて、売られているというのが実態ですので、そういったものは表示を見て避けると言うか、そういったことが重要だということと、やはり一度発症すると非常に重篤な症状になる可能性が高いということから、現在はこの表示は非常に重要なのだと思っております。

添加物を含む食品の添加物表示(3)

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