第81回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

質疑応答

Q10.1つ目は確認です。虫歯予防効果ですが乳製品を体内に摂取してからの効果ではなく口中にあるときにリン酸カルシウムが供給されて虫歯の穴を塞ぐという理解でよろしいのでしょうか。昔から牛乳は「噛んで飲め」と言われましたが、口中に含む時間が長いほうが効果があるのでしょうか。2つ目は、「脂肪球皮膜粉末」はどのようなものでしょうか。それと、脱脂粉乳と牛乳ではどちらが美肌効果があるのでしょうか。
A10.
  • 1つ目は、そのとおりです。2つ目のご質問ですが、この実験はよつ葉乳業様が実施された結果です。脂肪球皮膜というのは脂肪を包んで安定化させるタンパク質群です。これを取り出す技術をよつ葉乳業様はお持ちで、その技術で取り出した物質を使った実験です。脱脂粉乳と牛乳の効果の差は脂肪が含まれているかそうでないかの違いで、おそらく牛乳の方が効果は高いのではないかと思います。牛乳の美肌効果の実験はされていないようなので詳細は判りません。
Q11.硬質チーズは噛むことによって唾液が出ることで虫歯予防効果があることが判りましたが、チーズ中の成分が有効ということは考えられないでしょうか。
A11.
  • これまでに読んだ虫歯予防関係の論文では成分まで踏み込んだものは無く、単に硬質のチーズを噛むことにより唾液の分泌が多くなるとしか書かれていません。ただ、硬質チーズは長い時間をかけて熟成させてタンパク質が分解されてアミノ酸ですとかペプチドができていますので虫歯には効果がなくても他の病気に対して効果がある。
    東海大学の井越教授の研究によりますとペプチドにがん細胞を抑える効果があると発表されております。虫歯だけでなく全般的な効果が期待できると考えております。
Q12.ケトン体が脳のエネルギーになるという情報は非常に新しいです。今、世間で流行っている低炭水化物ダイエットを裏付けるために良い資料だと思います。牛乳を飲んでダイエットする考え方が今以上に盛んになってもよいと思います。タンパク質についてです。タンパク質は最終的にアルブミンとグロブリンになればよいので、カゼインでなく植物性タンパク質でもよい訳です。ヒトの場合は雑食性なので進化の過程で動物性たんぱく質が優位だということが仮説なのでそれで不足する分を植物性で補って生き延びたとしたら、植物性タンパク質がなければなりません。カゼインを植物性タンパク質と一緒に摂取するということをどのように考えたら良いのでしょうか。
A12.
  • カゼインの場合はアミノ酸組成が優れているのですが、含硫アミノ酸がやや少ないので含硫アミノ酸を多く含む大豆タンパク質と一緒に摂取すると相互に補完することになります。
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Q13.9種類の必須アミノ酸の中でカゼインは生物価がどのような組み合わせでも100になれば良いのですが、順位の優位はあるのでしょうか。
A13.
  • そのことについて私は確実にお答えできません。但し、最終的にはアミノ酸になるのですが、その前段階としてペプチドができて、そのペプチドがカルシウムの吸収を高めたり、必要な物質を運搬することに使われたり、腸管の中で免疫細胞に働き機能を高めたり等の機能があります。カゼインにもありますし、大豆タンパク質にもあることが報告されています。いろいろなタンパク質をバランス良く食べることは理に適った食べ方だと思います。
Q14.哺乳類の仔は生まれて数ヶ月はミルクだけで生きています。大人にもそのような効果が牛乳にあるということになれば、飲用により説得力が生まれるのではないでしょうか。また、経済効率から様々な食物を摂取しないで牛乳だけで保管できれば、その効率は高くなり経済的にも良いのではないかと考えます。
A14.
  • 栄養素密度が高い食品(牛乳・肉・卵・大豆等)、は1gや1カロリー当たりの栄養素が高いため、同じ栄養素を満たすためにはより少ない摂取量で満たすことができると言えます。
Q15.カゼインミセルの構造ですが、2種類に見える理由は処理の仕方によるものとお伺いしましたが電子顕微鏡の解像度の問題ではなく同一の電子顕微鏡で見ても2種類なのでしょうか。
A15.
  • 電子顕微鏡で撮影する場合「固定」という操作をします。化学薬品で固定したり、凍結させて固定したものを薄く切るのですが、切る道具の切れ味の差によっても映像が変わってきてしまうことがあります。
Q16.最近はスプリング8(大型放射光施設で様々な分析に利用される施設)のような設備を使ってもカゼインミセルの構造は解明できないということでしょうか。
A16.
  • 世界中で今も研究は進んでいますが、今のところ解明されていないと言ったほうが良いと思います。
Q17.日本最古の医学書「医新方」に「乳を飲む」という記述がありますが、日本では牛乳を飲み始めたのは明治時代からだと記憶していたのですが、日本人に母乳以外のどの動物の「乳」を飲む習慣があったのでしょうか。
A17.
  • 日本にミルクの文化が入ってきたのは大化の改新の頃です。その頃のお経の中に昔の乳製品がいろいろ書いてあります。その中の一つが「醍醐」です。現在の醍醐味に通じています。その当時の乳製品は薬としての効果を謳ったもので、摂取すると「万病皆除く」というような記述で、貴族階級だけが享受して庶民階級には拡らなかった。
    鎌倉時代に乳製品は廃れてしまうことになり、江戸時代になると徳川吉宗の時代になるとミルクを飲むようになりました。それは、今で言う「加糖練乳」のようなものを作り、江戸の雉橋で販売していたとされています。真偽はわかりません。牧場は現在の千葉県にあり、そこは「酪農の里」言われ日本で最初の牧場とされています。歴史は古いのですが、途中、中抜けしています。
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Q18.牛以外の動物の乳を飲むことはあるのでしょうか。
A18.
  • 山羊、羊、駱駝、馬などがあげられます。馬のミルクはモンゴルで飲まれています。馬のミルクは牛や山羊にくらべヒトのミルクに成分的に似ています。山羊、羊や水牛のミルクはタンパク質や脂肪が高いので美味しいのではないでしょうか。ただ、それらは独特の臭いがあります。それは、脂肪酸の中にカプリン酸というのが原因です。カプリンの意味はもともと山羊という意味です。

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