第76回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

31. ニュージーランドの酪農乳業

生乳生産量は、約2千万トンで、現在も増加中である。
伝統的な酪農地域は北島であり、比較的豊富な降雨を利用して周年放牧の生産形態を確立。
南島は、中央山脈の西側は平野部が少なく、東側は乾燥しているため、従来、羊の飼養が多かった。近年、南島東側で、新たな灌漑施設の利用による生産量が大幅に増加。ニュージーランド全体の生乳生産の割合は、北島約60%、南島約40%となっている。ただし、灌漑施設にはコストがかかること、国土面積の制約(日本の約70%)により既に農地価格がかなり高騰していることから、生乳生産の増加は遠からず限界に達すると見通されている。
従来、放牧による牧草以外の補助飼料の給与は殆ど行われていなかったが、最近では、放牧地の一部をトウモロコシの飼料畑に転用したり、インドネシアからパームオイルの搾りかすを輸入して与える等が行われるようになった。ただ、ニュージーランド国内では、インドネシアの熱帯雨林の破壊にパームオイルの畑が使われていることで批判されている。
ニュージーランドの乳製品は、かつてはニュージーランドデイリーボード(公的機関)による輸出窓口の一本化が法律で定められていたが、WTO等で輸出独占の弊害に対する批判が高まり、2001年に輸出を自由化し、誰でも輸出できるようになった。ただし、ニュージーランドデイリーボードを引き継いだフォンテラ(協同組合企業)が現在もなお乳製品の製造輸出の約9割を占めている。
国民人口が約4百万人しかなく、国内市場が非常に小さいため、輸出割合が95%以上。このため、フォンテラが組合員の酪農家に支払う乳価は、豪州以上に乳製品の国際価格に左右される。
フォンテラは、国内の生乳生産量が限界に達することを見通し、海外、特に中国での酪農生産の拡大を目指している。

<NZの酪農乳業>
酪農

・生乳生産量は、約2千万トンで、現在も増加中。
・伝統的な酪農地域は北島であり、比較的豊富な降雨を利用して周年放牧の生産形態を確立。
・南島は、中央山脈の西側は平野部が少なく、東側は乾燥しているため、従来、羊の飼養が多かった。
・近年、南島東側で、新たな灌漑施設の利用による生産量が大幅に増加。NZ全体の生乳生産の割合は、北島約60%、南島約40%。
・ただし、灌漑施設にはコストがかかること、国土面積の制約(日本の約70%)により既に農地価格がかなり高騰していることから、生乳生産の増加は遠からず限界に達すると見通されている。
・従来、放牧による牧草以外の補助飼料の給与は殆ど行われていなかったが、最近では、放牧地の一部をトウモロコシの飼料畑に転用したり、インドネシアからパームオイルの搾りかすを輸入して与える等が行われるようになっている。

乳業

・かつてはNZデイリーボード(公的機関)による輸出窓口の一本化が法律で定められていたが、WTO等で輸出独占の弊害に対する批判が高まり、2001年に輸出を自由化。
・ただし、NZデイリーボードを引き継いだフォンテラ(協同組合企業)が現在もなお乳製品の製造輸出の約9割を占めている。
・国民人口が約4百万人しかなく、国内市場が非常に小さいため、輸出割合が95%以上。
・このため、フォンテラが組合員の酪農家に支払う乳価は、豪州以上に乳製品の国際価格に左右される。
・フォンテラは、国内の生乳生産量が限界に達することを見通し、海外、特に中国での酪農生産の拡大を目指している。

乳製品

・乳製品の価格支持、輸出補助等の政策はない。
・政府は、研究開発を中心に間接的に支援。

32. 主要国の乳製品輸入量

次に、輸入側を示す。
脱脂粉乳と全粉乳の輸入国は、輸出国と異なり、千差万別である。全粉乳は圧倒的に中国が多くなっている。
2008年には僅かだったのが、この5年間で急に増えている。今後どこまで増えるのか恐ろしい伸びである。そのほとんどがニュージーランドからである。

  • 主要国の乳製品輸入量
  • 中国の全粉乳輸入量

33. 主要国の1人当たり牛乳・乳製品消費量

世界中の主要国の1人当たりの牛乳・乳製品消費量を示したものである。1位はスウェーデンで、ミルクに換算して、1年に450kgを摂取している。日本はまだ100kgに達していない。中国をはじめとしてこれから伸びてくるであろう国たちは、この中には入ってきていない。これらの国の人達が、日本並みに伸びてきたら、全体的な需要は爆発的に伸びることになる。

主要国の1人当たり牛乳乳製品消費量

34. 乳製品の国際価格

以下は乳製品の国際価格の推移を示している。
リーマンショックの直前位から乱高下を繰り返しており、以前はトン当たり1000ドルや2000ドルで落ち着いていたものが、今では5000ドルに達するものもあり、また上がったり下がったりの変化が大きくなっている。これは需要が伸びていることと、生産側に支障を来す事態が増えていることによる。価格面からも推察できる。

乳製品の国際価格

35. 乳製品国際需給の長期的見通し

乳製品の国際需給の長期的見通しとしては、輸出国は限定されており、それぞれが不確定要因を抱えているため、増加が見込まれる輸入需要を満たす供給を長期にわたり行えるかどうか疑問である。
一方、輸入国の人口増加及び経済発展に伴う輸入需要の増加は、基本的なトレンドとして長期的に継続することが確実である。
従って、乳製品の国際需給は、短期的な不足、緩和を繰り返す中で、長期的には供給不足に向かうことが懸念される。
また、乳製品の国際市況もそれにつれて大きくぶれ、経済力のある国しか又は経済力があっても手に入らない値段になってしまう懸念もある。

<乳製品国際需要の長期的見通し>
1. 診断法輸出国は限定されており、それぞれが不確定要因を抱えているため、増加が見込まれる輸入需要を満たす供給を長期にわたり行えるかどうか疑問。
2. 一方、輸入国の人口増加及び経済発展に伴う輸入需要の増加は、基本的なトレンドとして長期的に継続することが確実。
3. 従って、乳製品の国際需給は、短期的な不足緩和を繰り返す中で、長期的には供給不足に向かうことが懸念される。
4. また、乳製品の国際市況は、輸入国の経済力の蓄積により、従来よりも激しい乱高下を繰り返す可能性が高い。

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