第76回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

26. 豪州の酪農乳業

生乳生産量は約1千万トン。日本より若干多いレベルである。
酪農生産は、南東部の海岸沿い、特にヴィクトリア州に集中している。内陸部は砂漠、北部は熱帯性気候で酪農には適さない。
酪農は他の農畜産物より収益性が高いため、営農可能な地域では、乾燥地域ぎりぎりのところまで行われている。従って、干ばつ等の影響も受けやすい。ヴィクトリア州とニューサウスウェールズ州の内陸では、灌漑を利用した酪農が行われており、酪農家全体の1/3が大なり小なり灌漑を利用している。頻繁に発生する大規模な干ばつに対する抜本的な解決策はない。一度、干ばつが発生すると草が足りないため、乳牛の淘汰が行われる。先程示した乳牛のサイクルからも判断できるように、干ばつが終息しても赤ちゃんから育てて、生乳生産の回復に数年を要するため、大変な痛手となる。過去10年間は、大規模な干ばつが多発して生乳生産量の変動が激化した。周年放牧だが、最近は干ばつ対策や乳量増加のため、補助飼料主に飼料穀物の給与量が増加している。ただし、大麦を主体とした飼料穀物の生産も、大麦が干ばつの影響を受け易く、不安定であるほか、植物検疫の規制が非常に厳しいため、たとえ非常時になっても、日本のように外国から輸入することは事実上不可能である。
かつて、2000年位までは、飲用乳制度という飲用乳地帯の酪農を保護するための制度があった。飲用乳地帯では、飲用乳向け数量の割り当てと最低乳価を決め保護していた。一方ヴィクトリア州は加工原料地域であり、この制度に対し不満が募るため、輸出補助が行われていた。しかし、2000年にこれらの両制度を廃止し、生乳の生産流通を完全に自由化したため、州を挟んでの流通も可能になり、都市近郊、ニューサウスウェールズのシドニー近郊の酪農を行っていた人達が止めてしまった。このため、ヴィクトリアのシェアが増加した。
乳業は、輸出向け乳製品は協同組合系、国内向け飲用牛乳は商系の大手乳業が寡占化している。
人口21百万人の国内市場があり、資源ブームで国内経済もバブルで好調なため、国内消費が増えているため、生乳ベースの輸出割合は、かつての55%から45%に低下している。
乳製品の輸出販売価格は国際市場の動向に大きく左右され、酪農家への支払乳価もこの影響を受けて変動する。
乳製品の価格支持、輸出補助等に対する政策はなく、政府としては、研究開発を中心に間接的に支援する程度となっている。

<豪州の酪農乳業>
酪農

・生乳生産量は約1千万トン。
・酪農生産は、南東部の海岸沿い、特にヴィクトリア州に集中している(内陸部は砂漠、北部は熱帯性気候で酪農には適さない)。
・酪農は他の農畜産物より収益性が高いため、営農可能な地域ではぎりぎりまで行われている(従って、干ばつ等の影響も受けやすい)。
・ヴィクトリア州とニューサウスウェールズ州の内陸では、灌漑を利用した酪農が行われている(全体の1/3の経営が灌漑を利用)。
・頻繁に発生する大規模な干ばつに対する抜本的な解決策はない。
・一度、干ばつが発生すると乳牛の淘汰が行われるため、干ばつが終息しても生乳生産の回復に数年を要する。
・過去10年間は、大規模な旱魃が多発して生乳生産量の変動が激化。
・周年放牧だが、最近は干ばつ対策や乳量増加のため、補助飼料(主に飼料穀物)の給与量が増加している。
・ただし、飼料穀物の生産も干ばつの影響を受け易く、不安定であるほか、植物検疫の規制が厳しいため、たとえ非常時になっても、日本のように外国から輸入することは、事実上、不可能。
・かつて飲用乳地域(ニューサウスウェールズ州及びクイーンズランド州)では飲用乳制度(飲用向け数量割当て+最低乳価)を適用し、加工原料乳地域(ヴィクトリア州)では輸出補助制度を適用していたが、2000年に両制度を廃止して生乳の生産・流通を完全自由化。
・これにより、飲用乳地域で多くの生産者が離農・廃業し、加工乳地域の生乳生産シェアが増加した。

乳業

・輸出向け乳製品は協同組合系、国内向け飲用牛乳は商系の大手乳業が寡占化。
・人口21百万人の国内市場があり、資源ブームで国内経済も好調なため、生乳ベースの輸出割合は、かつての55%から45%に低下。
・乳製品の輸出販売価格は国際市場の動向に大きく左右され、酪農家への支払乳価もこの影響を受けて変動する。

乳製品

・乳製品の価格支持、輸出補助等の政策はない。
・政府は、研究開発を中心に間接的に支援。

27. ニュージーランド

人口約450万人で、非常に小さな市場なため、作った生乳は全部乳製品にして輸出している。北島がメインの酪農地帯で、南島は、中央山脈の西側は平野部が少なく、東側は乾燥しているため、従来、羊の飼養が多かった。しかし、近年では南島東側で、新たな灌漑施設の利用による生産がおこなわれており、南島での生産量が大幅に増加している。

NZの地図

28. ニュージーランドの月別生乳生産量

NZの月別生乳生産量で、7月に始まり6月に終わる酪農年度で、始まる頃はゼロであったものが、9月10月に跳ね上がり、徐々に低下して、6月にまたゼロになる。このように生乳生産量をコントロールするために、人工授精により一斉に出産するように調整している。乳量が減った5、6、7月は乳業工場も閉めている。

NZの月別生乳生産量

29. ニュージーランドの酪農

ニュージーランドの酪農の基礎データを示す。
生乳生産量は、確実に増えている。10年おきに700万トンから1100万トン、もはや2千万トン近くまでになっている。搾乳牛総飼養頭数はこの20年で倍増しており、460万頭を超えている。酪農経営戸数は逆に減ってきており、12000戸位になってきている。従って、平均飼養頭数は400頭近くになってきている。ただ、アメリカの2000頭などのレベルにはならない。というのは、放牧をおこなっているためで、牛が歩ける距離は限られており、また、外から餌を買ってきて与えるわけではないため、単位面積当たりで飼える牛の頭数も制限されることになる。20kmも30kmも広い放牧地を作り、牛を1000頭飼ったところで、牛が歩いてこれなければ乳は搾れないため、一つの牧場の範囲及び飼養頭数は自ずと限界があり、現状は限界に近いと考える。面積辺りの飼養頭数のデータでは、以前から1ha当たり2頭から2.5頭といわれていたが、今では2.8頭になっており、これは技術の進歩によるものと考える。同じ面積でいかに多くの草を作り、その栄養分を効率よく乳成分に変えるかに知恵を絞り改良を重ねている。

NZ酪農の基礎データ

30. ニュージーランドの製品別輸出額

ニュージーランドの製品別輸出額を示す。
圧倒的に乳製品が多く、全体の製品輸出の25%を占めている。国の最大の産業である。

ニュージーランドの製品別輸出額

1 2 3 4 5 6 7 8