第76回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

21. 米国の酪農乳業

アメリカの酪農乳業を整理すると、生乳生産量は約9千万トンで、現在も増加を続けている。連邦や州政府による生乳生産量の抑制管理は行われていない。全く市場にまかされている。
主要な酪農地域は、伝統的な家族経営が主体の北東部(ウィスコンシン)と、ドライロットと呼ばれるメガファーム主体の南西部(カリフォルニア)。生乳生産の中心は、近年、北東部から南西部にシフトした。しかし、2008年のリーマンショック以降、メガファームの経営が金融不安の影響を受け、一方、家族経営は柔軟性が高いため、南北の状況が変わりつつある。
次期農業法がオバマ政権で議論されており、政府による乳製品の価格支持政策を廃止し、乳製品価格の変動を市場に委ねる一方、酪農経営の収益が低下した場合に限り、所得支援を行うことが検討されている。これは一種の収益保険的な考え方で、酪農家も一定の保険料を払い、政府も払う。それで何か起きたときにはお互いに出しあう、という考え方である。この背景には、干ばつ等の異常気象、バイオエネルギー政策等が飼料穀物価格の変動を激化させていることがある。アメリカでは政策でバイオエネルギー何%目標と定められており、今では飼料穀物よりもバイオに向けられるものの方が多くなっており、危機的な状況になっている。そのために、酪農経営の収益が不安定化しているということがこの新しい農業法を考える上での背景にある。仮にこの農業法が導入された場合に生乳生産がどのようになるかは不透明である。
アメリカの乳業に関しては、協同組合系と商系の乳業があり、経営の合理化が進んでいるほか、合併を繰り返して巨大化、激しい競争状態にある。
人口約3.1億人の国内市場があるため、乳製品の生産量に対する輸出割合は低い。しかし、輸出に対しては関心が高く、特に対アジア輸出に対して、主に西海岸の乳業が実際に取り組んでいる。中西部から東の方はやはり東の自国の市場に専ら目を向けているのが実情である。
乳製品の政策としては、政府が余剰乳製品を一定価格で買い入れて市場隔離することにより、乳製品の価格を支持している。この政策は次期農業法で廃止される見通しであり、乳製品の価格変動は市場に委ねられることとなる。その結果、どの程度の価格変動が生じるのか、現在のところ不透明である。

<米国の酪農乳業>
酪農

・生乳生産量は約9千万トンで、現在も増加を続けている。連邦や州政府による生乳生産量の抑制管理は行われていない。
・主要な酪農地域は、伝統的な家族経営が主体の北東部(ウィスコンシン)と、ドライロットと呼ばれるメガファーム主体の南西部(カリフォルニア)。
・生乳生産の中心は、近年、北東部から南西部にシフトした。
・しかし、リーマンショック以降、メガファームの経営が金融不安の影響を受け、一方、家族経営は柔軟性が高いため、状況が変わりつつある。
・次期農業法では、政府による乳製品の価格支持政策を廃止し、乳製品価格の変動を市場に委ねる一方、酪農経営の収益が低下した場合に限り所得支援を行うことが検討されている(収益保険的な考え方)。
・この背景には、干ばつ等の異常気象、バイオ・エネルギー政策等が飼料穀物価格の変動を激化させており、酪農経営の収益が不安定化していることがある。
・次期農業法が生乳生産に及ぼす影響は、現在も不透明。

乳業

・協同組合系と商系の乳業があり、経営の合理化が進んでいるほか、合併を繰り返して巨大化。
・人口約3.1億人の国内市場があるため、乳製品の生産量に対する輸出割合は低い。
・対アジア輸出に関心が高く、実際に取り組んでいるのは、主に西海岸の乳業に限られている。

乳製品

・政府が余剰乳製品を一定価格で買い入れて市場隔離することにより、乳製品の価格を支持している。
・この政策は次期農業法で廃止される見通しであり、乳製品の価格変動は市場に委ねられることとなる。
・その結果、どの程度の価格変動が生じるのか、現在のところ不透明。

22. 豪州

以下に示したオーストラリアの地図は、雨量を示したものである。日本の平均雨量が約1700ミリで、地図上の緑で示したところがほぼその雨量に該当する。殆ど海岸線に張り付いた部分しかない。内陸の黄色の部分は、500ミリでほとんど雨が降らない地域である。日本の25倍の国土面積があるが、農業ができるところは限られている。オーストラリアというと広大な国土で、小麦や大麦や酪農、肉牛生産を活発にやっているというイメージの方が多いと思うが、水という面においては日本より恵まれていない。
酪農に関しては、水に恵まれたところに集中しており、一番南のヴィクトリア州というメルボルンを州都とするところと、シドニーの南側の地域に集中している。後はタスマニア島の西半分で、一番雨が降って農業に一番向いているところで酪農が行なわれている。

豪州の地図

23. 豪州の州別生乳生産量

豪州の州別生乳生産量は、圧倒的にヴィクトリア州が多く6割を占めている。シェアも増加している。

豪州の州別生乳生産量

24. 豪州の生乳用途別仕向け割合

豪州の生乳用途別仕向け割合は、日本では飲用向けが半分以上を占めているが、飲用向けは25%に過ぎない。チーズ向け、バター脱脂粉乳向けが多くなっている。

豪州の生乳用途別仕向け割合

25. 豪州の相手国別乳製品輸出額

豪州の相手国別乳製品輸出額は、日本がトップで、以前には全くなかった中国が2番目に来ている。以下、シンガポール、インドネシアと続いている。

豪州の相手国別乳製品輸出額

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