第76回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

16. EU28

次に、4つの地域に関し、個別に詳しく述べる。
EU28カ国(クロアチアを除く)の人口は約5億人で、地域的にもそれほど広くないため、人口は密集しており巨大な市場である。関税が全くなく、EUの外から入るものだけ関税があるわけで、一つの市場として通貨も統一され、完成されている。

EU28の地図

17. EUの国別生乳生産量

EUの国別生乳生産量は、ドイツ、フランスが圧倒的に多く、次いでイギリス、オランダ、ポーランドと続いている。それぞれの国に特徴があり、またドイツ、フランスも地域によって違いがあり、一括りにEUの酪農とはなかなか言えないのが現状である。旧東欧のポーランドなどは、国が広いので5番目になっているが、農家の戸数は非常に多く、零細な酪農家がまだたくさん残っている状況にあり、効率も非常に悪いというところがこの中には入っている。

EUの国別生乳生産量

18. EUの酪農乳業

EUの酪農乳業を整理すると、生乳生産量は約139百万トン。EU政府が加盟国別に生乳生産割当数量を定めて管理している。従って、生乳生産乳量は、全体としてほぼ固定的に推移しており、大きく変動することはない。
経営規模や飼養形態は加盟国により多様であり、イギリス、オランダ、デンマーク等は経営規模が大きく、生産効率も高いが、南欧、旧東欧諸国は生産効率が著しく劣り、EUの中でも、強いところ弱いところがはっきり分かれている。
EU全体の酪農家戸数はなんと計250万戸もあり(日本は2万戸を切っている)、搾乳牛の平均飼養頭数は約10頭となる。
EU政府による生乳生産の国別割当ては、2015年4月から廃止されることが決まっている。廃止後は各国が自由に生産できるようになるため、加盟国間の競争が激化し、生産効率の高い国が優位になると見られているが、具体的な見通しは現在においても不透明な部分が大きい。
EUの乳業に関しては、日本とは違い、酪農の歴史が古く、酪農家が必要に応じて乳業を組織運営してきた経緯があるため、協同組合系の乳業メーカーが多い。日本の場合は明治に入って一挙に始まったため、むしろ乳業が酪農家を育てて、原料乳を確保したという面もあるが、ヨーロッパの歴史の成り立ちは全く違うといえる。ただ協同組合系の乳業といえども乳業間の競争が激しいため、経営内の合理化や他企業との企業統合が進展しており、協同組合系といえども乳価交渉は非常に厳しく、毎年もめている状況にある。
乳製品の生産量は多いが、域内市場が大きいため、輸出割合は低い。EU域外への輸出意欲が高く、かつそれが可能なのは、一部の先進国オランダ等のみである。
乳製品の政策については、政府が余剰乳製品を一定価格で買入れして保管(介入在庫)するほか、域外への乳製品輸出に対して補助金を支払うことにより、乳製品の価格を支持している。ただし、いずれも莫大な財政支出を要するほか、WTO等で域外からの批判にさらされているため、政策の転換を余儀なくされている。EU政府は、農業予算を削減し、かつ域外からの批判をかわすため、農産物市場への介入を極力抑える方針。このため、長期的に見て域内の農産物需給は不安定化しつつある。

<EUの酪農乳業>
酪農

・生乳生産量は、約139百万トン。EU政府が加盟国別に生乳生産割当数量を定めて管理しているため、ほぼ固定的に推移。
・経営規模や飼養形態は加盟国により多様であり、イギリス、オランダ、デンマーク等は経営規模が大きく、生産効率も高いが、南欧、旧東欧諸国は生産効率が著しく劣る。
・EU全体の酪農家戸数は計250万戸、搾乳牛の平均飼養頭数は約10頭。
・EU政府による生乳生産の国別割当ては、2015年4月から廃止されることが決まっている。
・廃止後は各国が自由に生産できるようになるため、加盟国間の競争が激化し、生産効率の高い国が優位になると見られているが、具体的な見通しは現在においても不透明。

乳業

・酪農の歴史が古く、酪農家が必要に応じて乳業を組織運営してきた経緯があるため、協同組合系の乳業が多い。
・ただし、乳業間の競争が激しく、経営内の合理化、企業統合が進展。協同組合系といえども乳価交渉は厳しい。
・乳製品の生産量は多いが、域内市場が大きいため、輸出割合は低い。EU域外への輸出意欲が高く、かつそれが可能なのは、一部の先進国のみ。

乳製品

・政府が余剰乳製品を一定価格で買入れして保管(介入在庫)するほか、域外への乳製品輸出に対して補助金を支払うことにより、乳製品の価格を支持している。
・ただし、いずれも莫大な財政支出を要するほか、WTO等で域外からの批判にさらされているため、政策の転換を余儀なくされている。
・EU政府は、農業予算を削減し、かつ域外からの批判をかわすため、農産物市場への介入を極力抑える方針。このため、域内の農産物需給は不安定化しつつある。

19. アメリカ

先程述べた北東部は、ウィスコンシン、ミネソタの2州が伝統的な酪農州である。南西部の新しい州は、カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、ネバダあたりで、ドライロットといわれる巨大な工場のような酪農を行っている。このあたりは砂漠であるが、砂漠の真ん中に巨大なテントを張り、テントの中で何千頭も飼っている。テントの真ん中に大きなメリーゴーランドのような搾乳マシーン(ロータリーパーラー)があり、24時間3交代で、3つの群れがそれぞれ連れて来られ、メリーゴーランドに乗って回っている間に搾乳され、元の小屋に戻るという、酪農らしくない雰囲気で行われている。
アメリカは、他の国と異なり生乳生産が伸びている。ニュージーランドも伸びているが、その理由は、1頭当たりの生産量が、1990、2000、2012年と伸びていることによる。これは餌の改良や、品種改良しているなどの理由によると考えられ、技術的にかなり高いものがあるものと考える。ただ10,000kg/頭・年になるとどうしても乳牛に無理がかかるため、どこまでやっていいのか懸念されるところである。

  • 米国地図
  • 中国の全粉乳輸入量

20. 米国の州別生乳生産量

アメリカの州別生乳生産量は、カリフォルニアとウィスコンシンが圧倒的である。アイダホ、ニューヨーク、ペンシルヴァニアと続く。ニューメキシコ、アリゾナも表に出てきているが、これらの州はかつて全く生産されてなかったところである。カリフォルニアもかつては下位の方であったのが、急に伸びたことによりトップとなっている。

米国の州別生乳生産量

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