第75回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

14. トウモロコシのシカゴ相場

トウモロコシのシカゴ相場を示した。以下のグラフにあるように、穀物相場というのは、気象状況、経済状態等いろいろな需給事情で大きく乱高下し、変動していることがわかる。トウモロコシは2012年8月21日に過去最高値831.25セント/ブッシェルを記録している。この値段を付けた理由は、アメリカの主産地が熱波で収量が落ちことに起因する。その後値段が下がってきており、最近では豊作予想により、7月25日以降は5ドル/ブッシェルを下回っている。

トウモロコシのシカゴ相場

15. 国際的な穀物価格の動向

長いスパンで国際的な穀物価格の動きを眺めると、トウモロコシは、以前から2ドル/ブッシェルが一般的な相場だったのが、2006年以降上がってきている。これは新興国の経済的発展により需要が大きくなってきていることに起因する。今後は5ドル/ブッシェルのレベルで上下するのではないかとみられている。2ドルのステージが5ドルに変ったことで、これまでのような安いトウモロコシは、今後、手に入らないのではないかと言われており、5ドル/ブッシェルでコスト計算を行った。

国際的な穀物価格の動向

国際的な穀物価格の動向

16. 配合飼料価格への影響要因

配合飼料価格への影響要因は、トウモロコシの国際価格、大豆油かす等原料穀類の価格の動き、日本に持ってくるための海上運賃(平成20年に高騰したのは北京オリンピックの影響)、もう1つは為替の影響の4つの要因からなっている。直近の為替が円安にシフトしたために、原料価格の高騰とダブルで影響したことにより配合飼料価格が高騰している。

配合飼料価格への影響要因

配合飼料価格への影響要因

17. 生乳生産費推計の考え方

以上の項目を背景にして、生乳生産費が今後どうなっていくかを推計した。生乳生産費は、畜産物価格統計という統計法上の基幹統計で、長い歴史のある統計に掲載されている。年に1回公表されており、24年度のものが今年の秋に出る予定のため、現在は23年度版が最新値となる。そこで、24年度、25年度はどうなのかを推計したのでその経緯を示す。
牛乳生産費は表に示す項目(種付け料、飼料費、敷料・・・)で構成されている。これらの値は統計に公表されるのみで、期中の動向がわからない。そこで、それぞれの費目の代理変数を見つけて、その変数の動き、つまり変化率によって推計した。例えば、種付け料の場合は、消費者物価指数の医薬品健康保持用摂取品の指数を代理変数とし、毎月発表される指数を使って種付け料がどの程度変化したかを求めた。24年度について、23年度実績の数値に代理変数の変化率を乗じて推計した。25年度は推計の推計となるため、全項目を見直すのは危険性が高いため、24年度の流通飼料費のみ直近の変化動向で推計した。その他は全て24年度の数値を用いている。
この流通飼料費の変化動向については、配合飼料は、既に今年の第2四半期の価格改定が公表されており、この値上げ額と安定基金補てん金を勘案して配合飼料の25年度の費用を推計した。その他の流通飼料費については、直近トレンドを第1四半期まで延長させ、第2四半期以降は固定する手法で計算した。

生乳生産費推計の考え方

生乳生産費推計の考え方

18. 飼料価格の動向

配合飼料価格と輸入粗飼料価格の動向を示した。配合飼料価格の動向では、平成16年の4月から直近までを見てみると、一番安かったのが平成16年度第4四半期で、その時の価格を40,000円/トンとし、その後の価格改定幅を算入すると、平成20年第3四半期には66,600円/トンまで値上がりした。その後一旦穀物価格は落ち着いたが再度上昇し、25年度第2四半期現在では66,850円/トンと最高値を突破し始めている。もう一方の輸入粗飼料価格の動向に関しては、都府県では自給飼料作物耕地が少ないため、多頭化に伴い購入飼料への依存度が高まり、牧草も輸入牧草を使うようになっている。
4月以降の直近の値動きは、乾牧草は最高値になっている。この背景は、アメリカにおけるバイオエタノールの需要増により、トウモロコシを価格的に有利な燃料用に販売する動きが大きくなり、更に牧草畑をトウモロコシ畑に変えてしまっているために、乾牧草の生産力が弱まっていることによる。また、経済発展に伴う、中国、韓国や中東諸国の旺盛な需要による輸入力が強化されている。さらに中国から輸出されていた中下位グレード粗飼料も口蹄疫の懸念から止まっており、その代替需要が増加していることにも起因する。
また国内事情としては、原発事故により圃場が使えず、輸入粗飼料需要の急増(チモシー・バブル)や急激な円安の進行も重なっている。

飼料価格の動向

飼料価格の動向

19. 主要流通飼料の価格動向

以下のグラフは、生産費の推計に使った主要な流通飼料の動向を示した。縦の点線が現時点で、その右側は推計、左側は農業物価統計に出ている実績を示している。平成22年を100とした指数で表しており、特に乾牧草の動きをみると急速に増加しており、1.5倍の数字になっている。推計では配合飼料以外は固定した数値を用いている。

主要流通飼料の価格動向

20. 生乳生産費の推計

以上の前提により生産費を推計した。円安の進行と輸入飼料の価格高騰がありコスト上昇となっている。特に都府県の生産コストが従来に増して上がったことを示している。

生乳生産費の推計

生乳生産費の推計

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