第75回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

5. 経営規模

1戸毎の経営規模は、下記グラフに示すように、ほぼ直線的に規模拡大が進んできたといえる。この傾向は今後も続くのではないかと見ている。以前から、牛舎を一杯にする、牛舎を大きくする、ということで個々の酪農家が規模を大きくしていったが、最近は規模の拡大についていけない小さい酪農家が離脱し、大きな農家が残るということで、平均規模の拡大に繋がっている。昭和30年代は、北海道、都府県共に1戸当たり2~3頭の牛を飼っていた。当時の牛は高価で、相対的な酪農家収入も多く、2~3頭飼えば子供の教育費は賄えた様であった。現状の平成25年の統計では、全国平均で73.4頭(北海道:113.2頭、都府県:50.2頭)で、何処の牧場を見ても50頭を超えているのが現在の状況である。

経営規模

6. 乳牛頭数

酪農家戸数が減少し、1戸当たりの頭数が増えている状況において、牛の総頭数はどうなっているかをみると、残念ながら、乳牛頭数は減少基調になっている。平成25年、直近の統計では1,423,000頭(北海道:807,000頭、都府県:616,000頭)となっている。これまで戸数が減少していても経営規模の拡大で乳牛頭数は増加していたが、昭和60年の2,111,000頭(北海道:808,000頭、都府県:1,303,000頭)をピークに戸数減少と共に総頭数も減少を続けている。今後もこの傾向が続くものと推察する。

乳牛頭数

7. 産乳能力

次に、乳牛1頭当たりの生乳生産について見たのが下記グラフである。昭和56年からのグラフであるが、右肩上がりに増加してきている。昭和30年代には経産牛1頭が1年間に約4,000kgだったものが、昭和56年には5,000kg、最近では8,000kgとなっている。近年、その伸び率が緩くなってきているが、この8,000kgという水準は世界的に見ても相当に上位であり、見劣りするものではない。ヨーロッパとの比較では日本の方高い能力を示している。しかし、この水準は乳牛が持っている能力の限界に近づいたのではないかと思う。

産乳能力

8. 生乳生産量

乳牛頭数と個体乳量をかけると生乳生産量になる。乳牛頭数と産乳能力の向上により生産量が伸びてきたが、乳牛頭数が減少に転じてきたことで、平成8年をピーク(8,659,000トン)に生産量の伸び率が下降傾向に転じている。今後もこのトレンドは続くと見ている。

生乳生産量

9. 1戸当り乳量

下図に示すように、1戸当たりの出荷乳量は増加しており、昭和56年と比較すると約5倍の規模になっている。北海道では546トン/戸・年、都府県では293トン/戸・年となっている。個体乳量も増えてはいるが、この乳量の伸びの背景は1戸当り頭数の増加によるものであった。

1戸当り乳量

10. 乳牛の飼養管理

どのくらい牛は餌を食べるのか、北海道と都府県では自給飼料の耕作地がかなり違うため、分けて考えてそれぞれ表に示した。ビートパルプとは砂糖大根の糖分を絞った残渣の繊維質の部分であり、サイレージとはトウモロコシや牧草を発酵させて保存したものである。北海道と都府県では平均飼養頭数が異なるが、酪農家1戸当たりのエサ代として表にした。

乳牛の飼養管理

11. 生乳生産費の推移

酪農家1戸当たりの生乳生産費用を昭和56年を1とした指数で表した。この30年間でどのように変化したかを見ると、ほぼどのコストも右肩上がりで推移している。その他物財費とは牛の種付け代、治療代、機材購入などの諸経費を示している。副産物とは、子牛や堆肥の売却額だ。北海道と都府県を示したが、ほぼ同傾向を示している。右肩上がりではあるが、労働費は平成10年あたりから横ばいで推移している。

生乳生産費の推移

生乳生産費の推移

12. 酪農経営の収益性

酪農家の収入と費用を加味して収益性を示した。家族労働報酬が最終的に自分の手に残る報酬であるが、平成23年は3,576千円だが昭和56年対比で1.9倍になっている。また、労働時間も頭数が増え乳量も増えたということで1.9倍になっている。規模拡大で収入も増えているが、連動して費用も労働時間も増えているのが実態である。

酪農経営の収益性

酪農経営の収益性

13. 穀物需給

次に、穀物の値動きに関する情報を示す。世界の穀物の需要量は、途上国の人口増、所得水準の向上等に伴い、右肩上がりに増加し、1970年に比べ約2倍の水準に達している。一方生産量は主に単収の伸びで需要量の増加に対応してきている。需要が伸びれば単収を伸ばす工夫で追いついてきている。需要量の動きで注目すべき点として、中国の影響をみる必要が出てきたことある。中国は大きな国土があるものの、インフラ整備がなされていないために耕作に適さない土地が多く、巨大な穀物輸入国に変身してしまい、アメリカ、南米からの穀物を大量に買い付けている。中国のこれからの経済発展が今の勢いがあるとすれば、購入量は更に増加すると思われる。心配な点は、中国に買い負けることがないかということであり、今後の動向を注視する必要がある。

国際的な穀物需給

国際的な穀物需給

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