第72回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

14. 質疑応答

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Q1.かつて日本でもクロイツフェルトヤコブ病が発症している例がありましたが、1人2人のレベルだったでしょうか。BSEが出てからニュースになった記憶がありますが、今でも発症しているのでしょうか。
A1.
  • そんなに少なくはなかったと思います。100万人に1人の割合で発症しているということでしたから、少なくとも100人以上は出ているということです。
    今でも同じ割合で、クロイツフェルトヤコブ病は出ています。厚生労働省の研究班が調査している結果では、日本でも世界でも同じ割合で出ています。ただし、変異型は日本では1例しか出ていません。
Q2.今回月齢30カ月で諮問していますが、アメリカの場合は理解できますが、日本の和牛の場合30カ月を超えたものは微妙な月数だと思いますが、どうして48カ月にしなかったのでしょうか。
A2.
  • どのような意図で30カ月にしたかはわかりませんが、国内措置として20から30カ月齢への変更は、SRMの変更も伴っているので、と畜場での検査月齢をどこまで引き上げられるかの諮問で30カ月が頭打ちのため、30カ月齢を年齢の切れ目とした。アメリカを意識したわけではありません。
Q3.名称ですが、もともとBSEという言葉があったのを、和訳として「狂牛病」と言っていたのでしょうか。非定型の原因に関し、わかっていることはあるのでしょうか。
A3.
  • 最初に誰がつけたのかはわかりません。おそらく「狂犬病」に似ているので、インパクトを強くしようとしたのかはわかりませんが、厚生労働省が言い始めた言葉ではなかったと思います。海外で「Mad Cow Disease」という表現はありましたが、これも正しい表現ではないです。
    非定型に関しては、結論としては、わかっていないのが現状です。推定として、人のCJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)と同じように孤発性で出るBSE、つまりたまたま出るBSEではないかとなると100万頭に1頭の割合で出ます。
Q4.肉骨粉が原因であったことがクリアに示されましたが、使われ始めたのはイギリスですか。アメリカでの発症が少ないのは、肉骨粉使用の状況はどうだったのか。また、肉骨粉の監視体制はあるのでしょうか。また、SRMの扁桃に関し、カナダだけ30カ月以上となっている理由はなんでしょうか。
A4.
  • いつからかはわかりませんが、肉骨粉はイギリスをはじめ各国がかなり前から使っていたと思います。ただし処理温度に関して、燃料節約の関係からか、レンダリング温度を下げて以降、1986年に見つかり蔓延し始めたようです。ただ最初に発症した牛がどのような原因だったかはわかっていません。アメリカでは乳牛には与えていましたが、その他の牛には直接与えず、牧野に肥料として撒いていたので、牧草と一緒に食べることがあります。
    管理に関しては、日本では農林水産省で顕微鏡で骨片の観察、およびPCRにて牛の遺伝子を見ています。世界的には顕微鏡検査が基本で、PCRを行うところは少ないです。
    カナダの扁桃に関する理由はわかりません。各国独自で決める項目で、扁桃は30カ月以上でいいとのリスク判断をしたということです。
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Q5.コホート研究の実例に関し、感染牛の肉骨粉を食べたことで、4年の間隔で発症しているとのデータですが、食べる量が少ない場合発症月齢が伸びるため、さらに時間を拡げて視る必要があるのではないでしょうか。
A5.
  • ご指摘の通りになる可能性は高いです。2004年生まれのものも、現在8年が経過しており、まだ出ていない。ただ検証作業はさらに続ける必要がありますが、現実は36~42月齢でと畜してしまうため、追跡できない状況です。蓄積されているものの、発症前の微量なものを食べたらどうなのかは、まだわかっていません。その場合、自分が生きている間に発症するかどうかということになりますが、恐らく心配しても意味のないくらい長い潜伏期間(100年以上?)になっているのが日本の状態と考えます。
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Q6.BSEの感染実験で、BSE牛の脳幹を経口投与した場合の罹患率は100%と言うことでしょうか。
A6.
  • この場合は罹患率を100%と考えたデータとして出しています。この場合は牛から牛ですから100%と考えます。牛から人であれば数%に落ちる可能性は十分あると考えます。
Q7.現実に感染部位を食べることを想定すると、1回のみではなく、例えば1mgを365回とかあると思いますが、その場合の評価はどのようにされているのでしょうか。
A7.
  • この場合は1歳までの間に食べさせることによって感染していると考えています。実験に用いた牛は4~6カ月齢の若い牛で、年を取ってから食べた牛への影響はあまり出てきてないと見ています。
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Q8.食べたら必ず感染するということだったのですが、必ず発症するわけではないと思いますが、発症するトリガーがあるのでしょうか。遺伝子的な変異に関し、例えば8歳以上であれば100カ月以上見ないと確認できないと思いますが、その辺の遺伝子研究はどの程度進んでいますか。
A8.
  • 遺伝子レベルでは、129番目のアミノ酸配列、特メチオニンーメチオニンになっているものが感染リスクが高いと言われており、メチオニン以外のものも、長い時間での発症の可能性もあると考えますが、メチオニンーメチオニンのタイプで5歳くらいで、異常プリオンが感染力を持つ量が蓄積されると言われています。100%感染し、ゆっくり蓄積されれば100%発症します。
Q9.当初、BSEのリスクをなくすには、全頭検査よりもSRMの除去を優先していたと思いますが、30カ月齢超に変更ということは、リスクはあっても問題ないということですか。
A9.
  • リスクがあっては問題ですが、飼料規制により、リスクがない程に低下したということです。当初規制をかけた時には、「全頭検査を行うことで安全です。」と言ってしまったために苦しんだ部分もありましたが、2005年アメリカ、カナダ、日本が検査月齢を20カ月に上げる時に、SRMを除くことの方が重要であるとの判断となりました。
    次にいつまで除く必要があるのかが問題となってきています。リスクが下がってきているのに、高いレベルの管理をどこまで実施するのかは、費用、要員の問題もあり無駄なことをやっているのではないのか、ということで変更することにしています。普通の感染症とは違い、牛に食べさせなければ次に進むことがない、とわかっている感染症なので遮断が可能です。いずれ撲滅宣言が出ると思います。
Q10.日本で我々が食べている牛肉の30カ月以下のものの比率はどの程度ですか。年齢と共に蓄積されるということですが、最高で何歳くらいですか。
A10.
  • 和牛の高齢のもので42カ月くらいまでです。普通にスーパーで買われる肉は20~30ヶ月のものです。乳牛の高齢のものは全て加工用に廻されます。月齢は番号で表示されており、携帯で打つことで確認できます。牛の寿命は長くて20歳程度です。30カ月にすることによる価格への影響は、肉の値段に反映できるか微妙です。
Q11.オージービーフをよく使用しますが、カナダと同じレベルですか。
A11.
  • オーストラリア、ニュージーランドは「無視できるリスクの国」となっており、もともと発生もありません。食品安全委員会は、「自ら評価」を行っており、「そこの肉は安全である。」と評価しています。
Q12.子牛の脳は今でも禁止されずに食べられているのでしょうか。
A12.
  • フランスでは食べていると思います。T-ボーンステーキもせき髄の付いたのが売っていました。
Q13.中国、韓国はどのようになっていますか。リスクの低い国になっているのですか。
A13.
  • 韓国は、リスクは高くないとなっています。中国は不明です。OIEに評価を依頼した国しか評価していませんので、評価されていない国は不明となります。BSEに関しては評価を依頼していません。
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Q14.全頭検査をして欲しいという意見を出した立場として、意見を述べさせていただきます。当時の検査案は30カ月でした。その時の問題として、牛の月齢を正しく見極めることができていない状況であったために検査対象を全頭にし、SRMの除去、飼料を含めて安全性を確保していただいた。だからと言って、いつまでも全頭と言っているわけではなく、安全性が確保できれば、消費者は無駄な費用を使う必要性はないと言っています。逆に、生産者の方が不安を持っており、検査を要求されているようで、今回のように変更する場合は、消費者とのリスクコミュニケーションは大切ですが、生産者とのコミュニケーションもお願いします。消費者には、「食べた時どうか」という点に重きを置いてリスクコミュニケーションをお願いしたいと思います。
A14.
  • 「食べてどうか」と言うのが食品安全委員会のリスク評価で、牛肉として食べた時のリスクは、このデータを見る限り考える必要はないと考えます。次に、特定危険部位をどのように食べるかという問題です。例えば、牛骨のスープの場合、消費者がそれを望むか、また、生産者が需要があると見込むか、現在は全く使っていない状況から回復するまでにはかなりの時間がかかると思います。
    生産者に対し、「消費者は大丈夫と思っています。」と伝え、自治体がどう判断するかわかりませんが、1ケ所でも続けると言った途端に、日本全国ダメとなると思います。
Q15.肉骨粉を与えていたということは、間接的に共食いをさせていた、と述べられました。哲学的に考えますと、牛として普通であれば食べなかったような物を食べさせられたことにより、このような病気を引き起こしてしまったということは、人間の営みの結果ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
原発の問題にしても同じなのですが。いいと思ったことが悪い結果に結びついてしまうことがないのか心配しています。
A15.
  • 自然のままに草を食べるのが、牛の生き方だと思います。ただし、これだけの地球の人口の食料を支えなければならない。生産性の向上をどうしても考えなければならない。農薬使うのもそのような意味で、食料を安定供給しようとすると、無農薬は安全という意見だけでは食料が足りなくなってしまう。この肉骨粉も乳量を出させるという目的から、食料の安定供給という意味からは正しいことを行ってきたと思います。一方、安全の面から考えると、果してどうだったのかとなると、その点いつも裏腹になっていると考えます。
    原発もエネルギーをどの様に供給するかの一つの手段としてとった方法で、生活する上での便利さとリスクが裏腹になっている中で、地球上の人口が増加している状況から、自然のものだけでは足りなくなってきているためだと思います。
Q16.生きていくうえでの必要性と、摂取したものの結果をどのように評価してコントロールしていくか、色々なケースがあると思います。牛が草しか食べないという発想は変わってきているように感じます。では、どこまで変わっていくのか、草食、肉食をミックスした食べ物を動物は摂取していくのか、どのように思われますか。日本人に比べ、欧米人は、牛肉を食べることが歴史的に長いのですが、その差異はあるのですか。
A16.
  • 難しい質問で、産業として考えると、効率化を積極的に考えていかなければならないために、そのような方向に進むと考えます。ただ、公害の問題を考えても、成長は良いが、垂れ流しでいいのかの問題に対し、一旦振り返って改善してきたように、食料もどのように供給していくか、人工的に作れるものでタンパク質が供給できないか、可能性としては追求していく必要があると思います。
    科学の問題でもあるし、哲学の問題でもあるし、経済の問題でもあるので絡めて解決できればと思います。
    歴史的習慣の違いは、わかりません。大きな違いはないと思います。
Q17.必要だから食べなければならない。質より量を確保しなければならないということで、哲学だけではなく、安全だけではない複雑な議論が必要になってくると思いますが、いかがですか。
A17.
  • 基本的には食べるものですから安全でなければいけません。その点を確保したうえで安定供給ができるように進めなければいけないと思います。これまでは、たくさん供給してから安全を考えていたのがこれまでの対応だったのが、違うのではないですかとなってきていると思います。

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