第72回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

3. プリオン

プリオンとは、感染性を有するたん白質様の病原体を意味する造語(proteinaceous infectious particles)である。感染型プリオンが正常型のプリオンと出会うと、それを感染型に変えてしまうメカニズムが働いてしまう。感染型プリオンが溜ってくると神経細胞に影響が出て、脳の細胞が穴が開いたようにどんどん減ってしまい死に至る。プリオンのタンパク質は正常な動物の中に存在し、神経の伝達をスムースにする働きを持っており、これが異常型であると異常型がどんどん増えていくという状態になる。
つまりBSEの原因としては、異常プリオンタンパク質が体の中に入ってくることで、相当長い潜伏期の後に異常型が増加し発症に至る。行動の異常、運動失調等の神経症状があり、発病後は2週間から6カ月の経過で死亡する。診断するには、脳の中の異常プリオンタンパク質を検出することで判断しているが、まだ生前の診断での確実な判断には至っていない。
BSE発症原のプリオンの体内分布は、プリオンが多く集まるところとして、脳に60%程度、せき髄24%、その他に背根神経節というのがせき柱にあり、背骨からせき髄が出る出口のところに神経節という固まり部分で、この部分に溜っている(3.6%)。このため、せき柱は現在危険部位として取り除くことになっている。あと回腸の遠位部とは、盲腸と繋がるところから見て2m位のところまでをいい、ここで見つかっている。
これらを特定危険部位(SRM:Specified Risk Material)として除去しており、これらで99%以上の除去率になっている。

<プリオン>
  • プリオンとは、感染性を有するたん白質様の病原体を意味する造語(proteinaceous infectious particles)。
  • 牛海綿状脳症(BSE)やヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (vCJD)の原因と考えられている「異常プリオンたん白質(PrPsc)」とは別に、正常個体内にはもともと「正常型プリオンたん白質(PrPc)」が存在する。
  • 両者のアミノ酸配列は同じであるが、唯一立体構造が相違していることが知られている。

正常プリオンたん白質から異常プリオンたん白質への変化
© 日本科学未来館 http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/deep_science/topics/02/01.html

<牛海綿状脳症(BSE)について>
1. 原因(病原体)
異常プリオンたん白質(たん白質の一種)
2. 症状
長い潜伏期間の後、行動異常、運動失調などの神経症状を呈し、発病後2週間から6か月の経過で死亡。
3. 診断法
脳から異常プリオンたん白質を検出することにより診断。現在のところ、生前診断法はない。

BSE発症牛のプリオンの体内分布及びSRM

仮説ではあるが、伝達経路は、食べることで腸に入り、回腸の遠位部のパイエル板に取り込まれ、そこから神経を通りせき髄に上がり、最後は脳の延髄の閂(かんぬき)部に溜ることになり、その後脳全体に広がりスポンジ状に変化してくると推察している。さらに進行して、せき髄、脳だけではなく末梢神経に見つかってくると筋肉を食べるのが危なくなってくる。ただし、順序としては、脳に溜るのが先であるため、特定の危険部位を除いておけば、筋肉には末梢神経があるが、まだ溜っていないため安全に食べられるといえる。

プリオン伝達経路の仮設

4. BSE発生の推移

どのように発生していたかを示した図をみると、1989年から年間発生頭数が増加し、ピーク時には36,000頭以上になっている。ここに示したのは症状を出して倒れた牛の頭数であり、もし全頭検査を行った場合は、これ以外にこの数字の何十倍かになったものと推察する。その後減少し、今では以前感染したものが僅かに出ているという状況にある。殆ど発生は見られない。
国別の数字では、イギリスで最初に確認され、1992年にピークを迎え、その後減少しているが、去年、今年もまだ1頭出ている。欧州全体では、イギリスよりもやや後にピークを迎え、イギリスから順次拡がったことを示している。日本でも36頭出ているが、症状が出て倒れたわけではなく、検査で見つかったものである。

世界におけるBSE発生頭数の推移
資料は、2012年9月3日現在のOIEウェブサイト情報に基づく。
※1:2012年については、英国(2012年7月6日現在)、アメリカ(2012年4月26日現在)、他4か国について報告されている。
※2:うち1頭はアメリカで確認されたもの。
※3:カナダの累計数は、輸入牛による発生を1頭、米国での最初の確認事例(2003年12月)1頭を含んでいる。
※4:日本については、2012年9月3日現在。

世界におけるBSE発生頭数の推移
資料は、2012年9月3日現在のOIEウェブサイト情報に基づく。
※1:2012年については、英国(2012年7月6日現在)、アメリカ(2012年4月26日現在)、他4か国について報告されている。
※2:うち1頭はアメリカで確認されたもの。
※3:カナダの累計数は、輸入牛による発生を1頭、米国での最初の確認事例(2003年12月)1頭を含んでいる。
※4:日本については、2012年9月3日現在。

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