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第5回定時社員総会・懇親会を開催

去る5月13日(金)、一般社団法人日本乳業協会の第5回定時社員総会・懇親会をホテルグランドパレスで開催いたしました。本年は役員改選期で7名の交代がありましたが会長交代はありませんでした。総会での会長挨拶と懇親会での来賓祝辞を掲載いたします。

- 定時社員総会 川村会長挨拶 -

定時社員総会 川村会長挨拶

本日お忙しいところ第5回定時社員総会へのご出席をいただき誠に有難うございます。また、会員の皆様には平素より当協会の事業運営にご支援ご協力をいただいておりますこと心より御礼申し上げたいと思います。
それでは総会に先立ち私から一言ご挨拶申し上げます。

はじめに、先月から続いております熊本の地震で被災された皆様方に対し心よりお見舞い申し上げます。当協会としては国からの要請を受け、会員企業のご協力をいただく中で育児用粉ミルク及びLL牛乳をタイムリーに被災地に提供してまいりました。乳業施設や牛舎など酪農乳業施設の被害にあわれた酪農乳業者の復旧、また、被災地域の一日も早い復興を心からお祈り申し上げる次第です。

それでは、平成27年度の取組と平成28年度の取組方針ということで大きく2点に分けお話申し上げご挨拶とさせていただきます。

まず、平成27年度の酪農乳業界は生乳生産が前年度比101.0%と3年ぶりに前年実績を上回りました。一方、牛乳乳製品の消費につきましても、昨年4月以降、牛乳乳製品全般にわたり価格改定の取組があった訳ですが、牛乳が前年度比で100.7%、発酵乳が107.2%といった数字になっており、金額ベースはもとより数量ベースで前年を上回るという価格改定の中でも堅調な動きを示しました。生乳生産あるいは消費動向を含め久しぶりに明るい1年であったと考えています。

また、酪農乳業にとりましても大きな課題であったTPP交渉が5年あまりの交渉を経て昨年10月に大筋合意に至りました。牛乳乳製品の分野では一部のチーズやホエーについて長期間の段階的な関税の引下げ、セーフガードの導入など種々の配慮が行われているものの、最終的には関税が撤廃されることから国内乳製品が輸入品との競争に晒される可能性が大きくなったと考えております。当協会としては、大筋合意後に直ちに乳業問題基本検討委員会を開催し合意内容の確認、また、日本の酪農乳業への影響について考察を行いました。それらを踏まえて国内乳業者への影響の軽減、生乳生産基盤の強化、あわせて乳製品の国内需給の安定化の3つの要請フレームを会長名の要請書として国に提出いたしました。

今後また運用基準など明らかになる詳細な内容や取り巻く環境、海外の乳製品需給の状況等を見極めた中で、当協会の中で更に議論を深めたうえで具体的な要請を国に行ってまいりたいと考えています。

それから、乳製品の需給は前年度に引き続き逼迫いたしまして、国はカレントアクセスに加えてバター10,000トン、脱脂粉乳5,000トンの追加輸入を実施いたしました。当協会としては前年度社会問題化しました年末需要期でのバター不足を繰り返さないため、輸入バターのよりタイムリーな放出を国に要請してまいりました。あわせてバターを製造する会員企業に対しましては、消費者やユーザーに対する安定供給について協力を求め、2年連続社会問題化するという事態は避けることができたと考えております。

また、昨年度は食品表示について大きな見直しがなされました。消費者から見てよりわかり易い食品表示の実現という目的で、新たな食品表示法が4月より施行されました。乳・乳製品に係わる大きな変更点としては製造所固有記号の使用基準の変更、栄養成分表示の義務化、機能性表示食品の創設などがありました。

加工食品の経過措置としては、5年となっておりますが当協会としては新基準への早期変更に向けた会員企業の取組を支援すべく、公正競争規約の設定されていないバター、クリーム、脱脂粉乳等について新たなガイドライン作成の取組を行いました。

HACCPにつきましては、これまでの総合衛生管理製造過程に加えて、新たにHACCP導入型基準が新設され、これに伴い昨年4月以降、各自治体で条例の改正が行われました。そうした中、厚生労働省はHACCPの導入を食品関連企業に対して段階的に義務化とする方針を固めました。有識者による検討会が開かれており食品衛生管理の国際標準に関する検討会が今年3月に設置されました。検討会の中では対象品目やスケジュールなど具体的な検討を行い、年末の12月に最終的な取り纏めを行う状況となっております。こうした国の動向を踏まえまして当協会としては今後HACCP未導入の会員に対するHACCP講習会参加への呼び掛けを強化する、更には、こうした講習会内容の充実を図りHACCP導入促進に向けた会員への支援を強化してまいりたいと考えております。

大きな2点目として、平成28年度の取組方針という観点でお話したいと思います。平成28年度は基本的には前年度からの継続課題としての生乳生産基盤の強化、乳製品の需給対応、TPP大筋合意への対応、新たな食品表示基準への変更、HACCP導入促進、原料原産地表示の義務化・拡大への対応など当協会として取り組むべき重要課題がめじろおしとなっております。

こうした様々な課題、また、難しい課題が多いときであればあるほど会員や賛助会員の皆様の声に一層耳を傾けるとともに、行政当局からの的確なご指導ご支援をいただく中で、当協会としての役割をしっかり果たしてまいりたいと考えております。そうした中で日本乳業協会の存在価値も高めてまいりたいと思っている次第であります。

平成28年度における重要課題は、乳業経営の礎づくり、あるいは乳業共通課題の解決という当協会の基本スタンスを踏まえ、前年度に引き続き5点の基本方針で新年度に臨みたいと考えております。

1点目は品質・安全性向上による消費者の安心・信頼の確保、2点目として牛乳・乳製品の普及啓発と需給の均衡、3点目として国際化進展への対応、4点目として環境リサイクル対策の推進、5点目として乳業事業の改善と合理化の推進、以上5つの基本方針で28年度も引き続き取組を進めてまいります。昨年度来の取組を踏まえて会員の立場になって取り組むべき重要課題の抽出と重要課題に対する重点的な取組、短期的だけではなく中期的な視点を踏まえた取組の推進、それから費用対効果を踏まえた取組を実践していきます。そして、酪農乳業他団体との連携をより一層重視していくといった基本姿勢で臨みたいと思います。詳細は報告事項として平成28年度事業計画でご説明いたしますので、是非とも十分なるご審議をいただきたいと思います。

平成28年度の当協会の取組が会員各社の円滑な企業経営に一助となることを心から念願しているところです。これより平成28年度事業計画と収支予算のご報告、並びに平成27年度の事業報告と決算、それから平成28年度の会費徴収基準等について、ご審議をいただくこととなっております。慎重なるご審議と円滑な議事進行に何卒ご協力をお願い申し上げます。以上をもちまして開会にあたっての私の挨拶とさせていただきます。

- 農林水産省生産局 大野畜産部長祝辞 -

農林水産省生産局 大野畜産部長祝辞

一般社団法人日本乳業協会第5回定時社員総会ということで一言ご挨拶申し上げます。まず、つつがなく総会を終えられ、このように総会、懇親会が開催されますことを心からお慶び申し上げますとともに、私どもをこの懇親会にお招きいただき有難うございます。

また、本日ご列席の関係者の皆様におかれましては、平素から我が国酪農乳業の発展に多大なるご尽力を頂戴していますこと、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。

今回、熊本地震で酪農乳業において多大な被害が出ているところでございます。被災されました皆様には心からお見舞い申し上げます。

本日、この場にお邪魔した最大の理由は、もう一つお礼がございまして、今回の熊本地震の際に総理官邸からプッシュ型支援と言っていますが、被災地に食料をはじめとする支援物資を届けるように要請がありました。4月16日にその第一陣として乳業協会に育児用粉乳を被災地に届けてもらうお願いをいたしました。色々な支援物資がございましたが育児用粉乳はなんと一番はじめに被災地に届いた支援物資でございました。その時、一番はじめに届いただけではなく要請された数量を完全に納めたのも乳業界が他の食料に比べて一番だったということで、この場を借りて今回の被災におけます乳業界の方々のご努力ご支援に深く感謝申し上げます。

熊本地震に関しましては、畜産部の幹部を現地に張り付けて、とにかく被災の実情をつぶさに寄せていただくとともに、寄り添う形でしっかり支援していきたいと考えております。9日にはここにおられます宮坂理事長のところのalic事業を活用して、まず第一陣として畜産関係の支援対策を公表させていただきました。また、今日、補正予算の閣議決定をしたところでございまして、近々どういった支援ができるか具体的にご説明できる機会がくると思っていますが、いずれにしましても、不幸にも熊本地震にみまわれましたけれど、今回の支援策で単に復旧に留まらず、やはり先ほどの川村会長の話にもありましたが、酪農基盤あるいは畜産生産基盤の強化につながるような、そういった力強い支援を畜産部挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

先ほどのご挨拶で酪農生産基盤が重要であると、2つの柱のうちの1つとして川村会長から話がありましたが、昨日、自民党で畜産酪農対策小委員会が開催されました。去年の11月25日に総合的なTPP関連政策大綱が出ましたけど、継続検討項目が12項目あり、そのうちの1つが酪農・肉用牛の生産基盤の強化とありまして、昨日、自民党の方で論点整理されました。それを受けて私どもも秋、来年度の予算となると思いますが、そういった論点整理を踏まえて、畜産クラスターやTPP対策ではありますが来年度から実施するとご説明しております生クリームをはじめとする液状乳製品、こういったものを補給金制度の対象としていく。その他諸々の諸対策を講じて3年ぶりになんとか生産が回復の傾向を見せているとはいえ、今年はJミルクの予測によれば若干減るという予測もあります。とにかく酪農生産基盤の強化に向けて、私ども全力を尽くしていきたいと思います。

こういった中で、指定団体制度の廃止の問題ですが、多くは語らないつもりですが、どうもイコールフィッティングという言葉が独り歩きしているようで、私は持論としてイコールフィッティングは権利だけではなく義務についてもイコールフィッティングであるべきだと思っております。いま、指定団体制度が果たしている重要な機能については、私どもも森山大臣も答弁させていただいておりますが、指定団体制度が持つ重要な機能については維持していくというのが農林水産省の基本的スタンスであります。

ただ、酪農家の所得の向上、これを通じた酪農乳業の安定を図っていくうえでは昨年来ご協力を得て生乳取引のあり方等検討会を開催させていただいております。やはり指定団体制度について、不断の見直し・改革は必要であろうと思っています。

そういう意味では、これから皆様方からのご意見、お知恵を拝借しながらベストポシブルな制度にしていきたいと考えておりますので、引き続きご支援、ご指導ご鞭撻をこの場を借りてお願いいたしますとともに、最後になりますが、本日ご列席の皆様方のますますのご健勝ご活躍、そして乳業協会のますますのご発展を心より祈念申し上げご挨拶とさせていただきます。

- 厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部 道野監視安全課長祝辞 -

厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部 道野監視安全課長祝辞

一般社団法人日本乳業協会におかれましては第5回定時社員総会を無事終了されたということで、まずはお祝いを申し上げたいと思います。また、お集まりの皆様方には、日頃より厚生労働行政、食品安全行政につきまして、ご理解とご協力をいただき、この場をお借りしあらためて御礼申し上げます。

さて、食品の安全行政は我々が担当している訳ですが、やはり食品の安全に関しては国民の大きな関心事項であります。皆様方におかれましては、継続的に日々食品の安全確保に取り組んでいただいていることにあらためて敬意を表させていただきます。

厚生労働省では、先ほど川村会長からお話がでましたHACCPの制度化につきまして、現在検討を進めているところです。HACCP導入につきましては、今から遡る20年前に食品衛生法を改正した際に、総合衛生管理製造過程の承認制度という形で任意の制度として出発いたしました。その際には、乳業界では皆様心を合わせてHACCP導入にご努力いただき、成果を挙げてこられたということであります。

今般の制度検討につきましては、食品衛生管理の国際標準化を検討していく形で検討会を進めています。HACCP自体はもうすでに欧米では多くの食品に義務化がされており、いまや主要国においても導入を進めている状況です。やはり、日本においても様々な問題があると思いますが、HACCPに関して着実に制度化していくことが求められています。特に食品衛生法について、具体的に言えば義務化というキーワードが出てきますが、今回の検討ではどういった業種、どういった規模の事業者の方に義務付けていくかをしっかり議論し、また、対象とならない事業者の方々に対してもHACCPに準ずる、もしくはその考え方を考慮したような衛生管理のあり方というものについて、実施していただく方向で検討しています。

乳業界につきましては、先ほど申し上げたとおり総合衛生管理製造過程の制度発足当初から業界を挙げて取り組んでいただいております。川村会長からもご紹介のあったとおり食品産業の中で最も導入が進んでいる業種の1つでありますし、全国的に見ても多くの地域にHACCPを導入した工場を持っています。そういった視点から、私どもとしては食品産業界の先頭に立っていただき、また、地域でのHACCP導入のリーダーとして本協会の会員の方々に、衛生管理の向上について自社という枠を超えて食品安全の推進という観点からリーダーとして役割を担っていただきたいと考えております。HACCP導入だけではありません。食品の安全確保という観点につきましては、引き続き皆様のご努力ご理解ご協力をお願いしたいと考えております。

最後に、本日お集まりの皆様のご健勝と本協会、関係企業のますますのご発展を祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

当協会役員交代のお知らせ

新任
田村 賢 専務理事
本郷秀毅 常務理事
有田 真 常任理事
江崎勝久 常任理事
坂口光一 常任理事
上西一弘 理事
村松道男 監事
退任
白川公一 専務理事
石原哲雄 常務理事
梅﨑信彦 常任理事
鴨下一秀 常任理事
阿久澤良造 理事
荒牧麻子 理事
堀口英樹 監事