第80回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

5. 質疑応答

Q1.「乳和食」の定義にある成分無調整牛乳を使う意味はなぜでしょうか。もうひとつ、和食と言うジャンルが現在明確にあるのだろうかということに疑問があります。つまり、家庭料理の範疇はすでに混沌としている感を持っています。あえて和食にこだわる理由をご説明願います。
A1.
  • 成分無調整牛乳を使う理由は2つあります。ひとつは、「味」の問題です。低脂肪牛乳や無脂肪牛乳をなぜ使わないかと言いますと、牛乳の味は脂肪の「コク」や「旨み」があるからです。低脂肪や無脂肪で調理しますと、乳脂肪の「コク」や「旨み」が出てこない結果になりました。成分無調整で調理していただかないと味気なくなり、塩や醤油を加える結果となってしまうおそれがあるためです。成分無調整牛乳を使うもう一つの理由は、食感です。しっとりとした食感が、高野豆腐のミルク煮、ミルク卯の花などで大きな意味があり、高齢者の嚥下にも良い影響があります。
    和食ジャンル・定義というのは大変難しいのですが、「和食会議」をご存知だと思います。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことで和食を農林水産省をはじめ、推進しております。「和食会議」には醤油メーカーさん、味噌のメーカーさんが和食を推進するために参加しています。牛乳が醤油や味噌と合うということを「乳和食」で体感できると思います。和食にもっと牛乳を使っていただきたいということが、ある面での主張です。また、和食という定義にこだわっている訳ではないのですが、牛乳が和食に合わないといったご意見に対して和食にも牛乳は十分生かせるということをご理解いただきたく、あえて「乳和食」という和食という言葉を使いました。牛乳といえば洋風料理にも使われていましたが、どちらかというと飲用が主流だった傾向に対して「食べる牛乳」、それも洋風ではない和食の中に取り入れることで牛乳を広めていきたいという目的があるからです。また、乳和食のコンセプトは「減塩」で、減塩が和食の大きな課題となっているためです。
  • 質疑応答
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Q2.食塩摂取量のお話がありました。たとえば、レストランや食堂のテーブルに調味料が置いてあります。それらが置いてあるから、料理に必要以上使ってしまうのだと思います。調味料の中にも塩分は含まれているということをあまり考えずに食生活を送っているのではないかと考えます。塩分は、調味料の中にも含まれていることを周知することはできないか。それと、調味料を食卓に置かないということもやってみたらどうかと思います。
A2.
  • 高血圧協会や栄養士の方が仰っていることは、製品に表示されているナトリウム表示から食塩表示にしていこうという活動があります。食堂などでも現在は、カロリー表示が一般的になって来ましたが、食塩まで表示しているところも少しずつですが出てきてます。厚生労働省も「健康な食事」のありかたの中で、食塩含有量の基準が示されており、料理の中に含まれる食塩量の表示は増えてくることになると思われます。Jミルクで開催する乳和食講習会では単なる調理実習ではなく、食塩摂取と高血圧など高血圧協会の医師から減塩の必要性についても講演をしていただき、減塩運動を支援する内容としています。
Q3.牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう方がいらっしゃいます。そういった方々に牛乳を暖かく調理して摂れば消化吸収が良くなると「乳和食のすすめ」という本に書かれていますが、料理に牛乳を取り入れることでゴロゴロ症状は出なくなるのでしょうか。そのメカニズムをお伺いします。また、学校給食の料理に牛乳を使ってもらうという働きかけは行っているのでしょうか。
A3.
  • ゴロゴロ症状は乳糖不耐といいます。日本人は乳糖を分解する酵素が少ない人が多いといわれています。乳糖が消化されずに大腸にいき、そこでバクテリアで分解され、ガスが発生する等してお腹がゴロゴロするということです。腸内菌叢の状態にも左右されることも言われています。牛乳を飲んでゴロゴロする時とそうでない時もあります。これは菌叢の状態によって、乳糖が上手く分解される時もあればそうでない時もあるということかと思います。牛乳を調理することで温度を加えたり、様々な食べ物と一緒に噛んで食べて頂くと、その症状は緩和します。個人差はもちろんありますが、乳和食で、お腹がゴロゴロしたということを伺ったことはありません。
    学校給食についてはこれからの取組みになります。現在、学校栄養士会の方で「乳和食」を学校給食のメニューの参考にしたいという声があることはお聞きしています。特に卵アレルギーの児童に対しては、マヨネーズを使わない「ミルクポテトサラダ」は大変参考になったとのことです。
Q4.「乳和食」という言葉は面白いと思います。以前から牛乳を使っていろいろ調理の工夫はしておりました。例えば、残った味噌汁やカレーを牛乳で伸ばしてパンで食べるといったことはしておりました。こういった牛乳を使ったことが実際に減塩に繋がっていたのだと思いました。味噌汁やカレーに牛乳を加えることで和食を洋食にしていたことになっていました。そういったことから、和食と言う言葉にあまり拘らなくても良いのかなと感じます。
牛乳の「旨み」をどのように受け止めたらよいのか。減塩に効果がある牛乳の旨みというのは乳脂肪ということになるのでしょうか。低脂肪牛乳や無脂肪牛乳ではなく、成分無調整牛乳を使わないとつまり、乳脂肪の高い牛乳を使わないと減塩に効果が無いのかということをお伺いします。
A4.
  • Jミルクでは和食と乳の研究会を立ち上げ、なぜ美味しくなるのかをもう少し科学的に検証する取組みを開始しました。「旨み」は単に乳脂肪だけではないかもしれません。脂肪分があったほうがより「旨み」を感じるということは述べました。牛乳の成分は味に係わるものが多く含まれています。カルシウム、マグネシウムは苦味、リン酸、クエン酸は酸味、塩化物の僅かな塩味、乳糖のほのかな甘味もあります。脂肪も口当たりの良さやコク、タンパク質は味に係わるなど非常に複雑な飲み物が牛乳です。乳清にもホエータンパクが含まれ、これも味に係わります。多種多様な成分が和風の食材と出会うことで、「旨み」を感じるのだと思います。そして、調味料の一部を乳に置換することで減塩になります。
    和食に拘らなくてもとのご感想ですが、この「乳和食」は和食らしさを失わず牛乳の風味を主張しない、和食の良さを引き出しながら乳とうまく融合させたことが特徴です。
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Q5.「乳和食」で使う牛乳を豆乳に置き換えてもいいのではないかと思ってしまう人がいるのではないでしょうか。一般の人は、牛乳と豆乳の違いの科学的認識が高くない人もいるので、牛乳が飲めないから豆乳を飲んでいる一般の人もいます。
お話の中に「現代日本人の2大栄養問題」がありました。ここでは食塩とカルシウムだけを取上げています。現在、減塩よりもn-3の油を増やす、所謂EPAとかDHAのある魚を食べるであるとか、食物繊維を摂ることといった「癌と食事」の問題が国民的には関心が高い。つまり、油の摂取に関心が高いので、この資料にプラスしてn-3とかn-6の油の話を付け加えてはどうか。先ほどの質問でもありましたが、低脂肪になぜ関心が高いかというと、n-6を減らしたいからなです。成分無調整牛乳を使うことに油を心配する一般の人から、ヨーグルトや脱脂粉乳ではどうなのかといった質問があるのではないでしょうか。脂肪にもう少し言及して頂きたい。
A5.
  • 確かに脂肪の問題はあると思います。介入研究のところでお話した、日本人の調査対象者に牛乳を400ml、6ヶ月毎日飲ませたグループでもメタボリックシンドロームに関する数値は良くなっています。この要因は、カロリーコントロールにあります。栄養指導です。牛乳を飲んだらメタボリックシンドロームになるという、つまり脂肪が影響するのではないかと言うイメージがあるのではないでしょうか。日本人は欧米に比べて牛乳の摂取量は少ない。400mlの牛乳を飲んでも脂肪の影響、つまりメタボリックシンドロームへの影響はなかったと言えるのではないでしょうか。一般的にあまりにも脂肪を摂取しないことが取り上げられていますが、この介入研究で示されているとおり、牛乳を飲むことと同時に栄養指導によって、カロリーコントロールし摂取カロリーを抑えるとメタボリックシンドロームには有効だということです。
Q6.牛乳の中に含まれている機能性成分が、メタボに有効だという知見はありませんか。つまり、カロリーを低くすれば牛乳を摂らなくても良いといわれてしまう恐れがあります。もし、牛乳の機能性成分がメタボに有力だとしたら、そして、今より少量の牛乳摂取でその機能性成分でも有効だということになると、牛乳を今より少ない量を飲めばいいことになりはしないかということが懸念されます。
A6.
  • 牛乳に関して、より理解を深めていただきたいということが前提にあります。牛乳の機能性成分の中の何がメタボに有効に働くのかということは私、個人として正確に分析した結果を把握しておりません。一般的に降圧作用は、カルシウム、カリウム、乳タンパクが分解されたペプチドが作用するのではないかと言われることもあります。これらが牛乳には含まれていますので、降圧作用を出せるので、なかなか他の食品ではないのではないでしょうか。先ほど豆乳というお話がございましたが、大豆という食品には固有の成分や効果があることは理解しています。後は「味」という問題だと思います。乳和食では、あえて牛乳の味を分からなくし、和食としてのおいしさを引き立てますが、豆乳ではどれも豆の味が勝ってしまうとのことです。
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Q7.「乳和食」のご説明を伺って、こういう切り口もあるのだと思いました。ご紹介されたレシピを拝見すると、今までにも様々な媒体で紹介されていた。これまでは、なぜ一般的に好まれないメニューだったのかというと、「ざらざら」した感触が日本人の感覚に合わなかったのかなと思いました。この食感を「葛」を使うことで緩和させる工夫をしていました。
それと「相性」というものがあります。外国でも様々な料理に牛乳や生クリームを使っています。それは贅沢な料理として、もてはやされてはいますが、今はメタボの関係で量を抑える傾向があります。「乳和食」では成分無調整牛乳を使用することになっていますが、そうでないと、美味しくないという結果になってしまう。この成分無調整に拘るのもひとつの方法なんだと感じました。
A7.
  • 脂肪に対する考え方ですが、先ほどもご説明しました介入研究の結果から、トータルカロリーを栄養指導によって制限すれば、コレステロールや脂肪に関してメタボには影響しないことが分かりました。日本で、乳脂肪が健康に悪影響を与えるということはどういう根拠からなのか、良くわかりません。海外のデータを基にして、日本人の乳脂肪の摂取を同様に扱うからではないのかという疑問があります。人種の差もあり、食習慣も違う中で、特に肉食が中心で、摂取カロリーも高い米国の調査を日本人に当てはめるのは難しいのではないでしょうか。牛乳の摂取量と脂肪、さらにメタボへの影響度については、日本人で調査研究し比較をするべきではないでしょうか。
Q8.Jミルクとして「乳和食」が浸透していくと牛乳の消費量は今よりどの位あがるのでしょうか。
A8.
  • そのような試算はしておりませんし、具体的な目標値は定めてはおりません。我々の「乳和食」の目標は、牛乳の価値や認識を高めたいことです。その結果、牛乳の消費が増えて日本の酪農を発展させたいということが最大の目標です。現実は牛乳の消費は、年々低下しており、それ以上に酪農生産者からの生乳生産が減少している状況を立て直す必要があります。
Q9.質問と言うより感想を述べさせて頂きます。「乳和食」という言葉はこれまでにないすごいものではないかと思いましたが、これまでの調理の中にあったものではないかといった印象です。自分が今まで調理をしてきた中でも牛乳を使ったり、残った料理に牛乳を加えたりしてきました。おそらく一般家庭でも普通にやっていることだと思います。「和食」ということも、今の日本人はあまり気にしていないのではないでしょうか。つまり、牛乳を使ったメニューを普及させる活動は、これまでもやってきたことではないか。そのことが「和食」と「洋食」の境目を薄くしてきたのではないでしょうか。「乳和食」という言葉は切り口はいいと思いますが、その底辺を広げていくためには一般の人たちがメニューを作るネットを利用し、タイアップするようなことをしたらどうでしょうか。一般の人のアイデアは素晴らしいものがあります。料理の先生が書いた本で普及を図ることも大事ですが、一般のひとのアイデアをコンテスト等を実施してレシピを集めるやり方もあるのではないのでしょうか。
A9.
  • 「乳和食」のコンセプトである「減塩」に拘りたいと思っています。業界ではこれまでも牛乳を使った料理の普及に努めてきました。ただ、「減塩」という価値を意識しメニューにしたものが「乳和食」です。なかなか「減塩」が進まない中で、それを意識した上で、料理に牛乳を使っていただきたい。それによって少しでも、食塩摂取を減らす切り口が「乳和食」です。「減塩」がなかなか進まないのは、味気ないとか出汁を取る手間がかかるといったことがあります。そこで、牛乳を「減塩」のツールとしてお使い頂きたいということが趣旨です。牛乳を使った料理は、これまでもございました、実は「乳和食」と同じ料理だったのかもしれません、そこに「減塩」を意識して調理することが、健康と結びつくということを「乳和食」は定着させていきたいと思っています。
  • 質疑応答
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Q10.「乳和食」という言葉の商標は、どうなっていますか。普通の料理講習会でも使ってかまわないのでしょうか。
A10.
  • 普及のための商標としては、講習会で「乳和食」を使えるのは、Jミルクと小山浩子先生です。また、最初に定義をお話しましたが、この定義に沿っている限り、使っていただきたいというのが私たちのスタンスです。
Q11.「和食」の定義を農林水産省が定めようとしています。来年のミラノ万博までに各国の言葉で発表できるようにしていますが、それが出たときに「乳和食」の定義を改定するのでしょうか。
A11.
  • それはありません。「和食」は和食で、「乳和食」の和食は別です。第三者が「乳和食」と言う言葉を商標として登録してしまうと、私たちが使えなくなる恐れがあるために登録しました。それは、「乳和食」の定義に則って使って頂きたいというということが前提にあります。また、「乳和食」と称して、食塩に配慮しない料理レシピでは私たちの意図に反します。
Q12.「乳和食」は、1食につき食塩の量を規定することはしているのでしょうか。また、「減塩」の定義は決められているのでしょうか。
A12.
  • まだ、規定の量までは検討しておりません。「減塩」の定義も決めておりません。

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